前年度まで研究に用いていた歩行ロボットは全長が1mで歩行速度は1m/s程度であった.その後継機として同程度の大きさの歩行ロボットを開発していたが,新型コロナウイルス感染防止対策に伴い大学での研究が制限された.そのため,後継機の開発を中断せざるを得なかった.そこで,自宅でも研究を遂行できる小型の歩行ロボットを開発した.全長は440㎜,脚の長さ336㎜である.制御に必要な計算機および電池などすべてをロボットに実装しても,炭素繊維を複合できる3Dプリンタを用いることで軽量な構造体を実現し,質量は2.7kgと非常に軽量なロボットを実現した. 1脚には3自由度あり,計12自由度を有す.モータにはラジコン用のサーボモータを用いたが,角度偏差に対してトルクが比例すると仮定することで,疑似的に力制御を実現した.脚の慣性モーメントを小さくするために駆動系には干渉駆動系を用いた.0.9m/sでの歩行が可能であり,ロボットの全長に対して1秒間に2倍以上の速度で歩行することができる.これは前年度まで実験に用いていた歩行ロボットと比較すると,全長を基準にすると2倍の速度で歩行することに成功した.また,前後,左右,旋回動作ができ,無線のコントローラにて遠隔操作することができる.9軸の慣性センサも実装してあり,姿勢を制御できるため,平地のみならず,芝生,砂利,ウッドチップなどの不整地や,地面が大きく変形するマットレスの上でも歩行できることを確認した.
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