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2018 年度 実績報告書

微細構造化高硬度接点による革新的アークレスハイブリッドしゃ断技術

研究課題

研究課題/領域番号 18H01420
研究機関東京工業大学

研究代表者

安岡 康一  東京工業大学, 工学院, 教授 (00272675)

研究分担者 竹内 希  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (80467018)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード電気接点 / 溶融ブリッジ / アーク / 高融点材料 / 微細構造
研究実績の概要

本研究の背景として,再生可能エネルギーなどの分散エネルギーを積極導入して,直流グリッドを構成し,省エネルギー化を達成させる要望がある。直流は電流ゼロ点が無く電流しゃ断が極めて困難であるが,本研究ではスイッチ開極時に接点間アーク放電を発生させない革新的アークレスのハイブリッド直流しゃ断技術を確立する。このため接点金属にタングステンなどの高融点材料を使用し,その高い接点電圧を利用して,アーク放電を発生させることなく機械接点から半導体パワーデバイスに電流を転流させる。ただし,タングステン材料は高沸点材料で高強度材料であることから,1)接点抵抗が高い,2)接点表面の溶融ブリッジの安定性が低いといった課題がある。初年度はタングステン表面の電気接点に関する文献データが得られないため,接点抵抗に関する基礎データを取得した。接点抵抗は接点閉力を増加させるに従い減少し,ある値を境にほぼ一定値を示すことがわかった。また接点抵抗は通電電流の増加とともに低下すること,通電後に表面をSEM観察した結果,800 A通電後に一部溶融した痕跡が見られること,表面粗さによる影響はさほど大きくないことがわかった。また,タングステンクラッド銅接点ではタングステン単独接点に比較して接点抵抗が減少することがわかった。
溶融ブリッジの安定性についてはタングステン単独接点,タングステンクラッド銅接点,銅単独接点について比較した。接点電圧は接点表面の最高温度によって決定されるが,接触材料や構造が異なると熱の放散速度が異なるため,接点電圧に変化が生ずることがわかった。タングステン単体接点に比較して,銅電極にタングステン材料をクラッドした接点電圧の変化は,銅単体電極に近い特性を示すことがわかった。また接点電圧からみた溶融ブリッジの安定性は,タングステンクラッド銅接点によって改善されることも判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

タングステン接点の基礎特性について。接点閉力は20 Nから83 Nの間で測定し69 Nでは1.9 mΩまで減少するが抵抗値の減少は飽和すること,通電電流は500 Aから1000 Aまで変化させた結果,約3m Ωから1.9m Ωまで低下することがわかった。電流増加に伴い接点抵抗が減少する原因は,SEM観察の結果とも併せて考察すると,表面が溶融して接触面積が増加したことによるといえる。当初研究計画で計画した複数のタングステン接触面を形成することの有用性を確認する結果であり,接触抵抗のさらなる減少が可能であると考えられる。なお現時点ではタングステン表面の微細加工を実現する手段が確立しておらず,低接触抵抗と高接点電圧を両立して,アークレス限界電流値をさらに高める技術開発を継続する必要がある。

今後の研究の推進方策

今回の研究で初めて判明した手法,すなわちタングステンなどの高沸点材料を熱導電率の高い銅接点材料に接合すると,接点通電部の最高温度を制御(=低下)できることを,研究の支柱とする。今後は,数100 Aの直流電流を通電した状態で,接点抵抗を精密測定する。実験パラメータは,通電時間,外部環境,接点材料と形状および接触圧である。また溶融ブリッジの安定性を向上させるため,高沸点材料と高熱導電材料の接合方法・材料の検討,両者の形状制御によると表面温度(=接点電圧)の低下手法の実験的検討と,シミュレーションによる温度推定を行い,また接触面積の増加を目的とした高融点材料の分散配置について研究する。さらに接点開極速度の動的制御による溶融ブリッジの安定性向上を実施する。以上より,低い接点抵抗でかつ直流500 Aを超えるアークレス遮断技術を確立する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [学会発表] Arc-Free Bidirectional Hybrid DC Switch using Tungsten or Tungsten-clad Copper Contacts2019

    • 著者名/発表者名
      Shoya Kubo, Shunsuke Sato, Yinming Huang, Koichi Yasuoka
    • 学会等名
      IEEE International conference on DC Microgrids
    • 国際学会
  • [学会発表] Microsecond Break Arcs During or After Commutation of Current in a Hybrid DC Switch2019

    • 著者名/発表者名
      Koichi Yasuoka, Yuta Yamada, Mo Chen, Ryo Nakayama, Shoya Kubo, Shungo Zen
    • 学会等名
      IEEE International Conference on Dielectric Liquids
    • 国際学会
  • [学会発表] Contact Resistance and Arc-free Commutation Current of Tungsten-clad Copper Contacts for a Hybrid DC Switch2019

    • 著者名/発表者名
      Koichi Yasuoka, Yuta Yamada, Mo Chen
    • 学会等名
      IEEE Holm Conference on Electrical Contacts
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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