研究課題/領域番号 |
18H01422
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
水野 勉 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (90283233)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 磁束経路制御技術 / コイルのQ値 / 伝送効率 |
研究実績の概要 |
(1)MPCコイル 磁束経路制御技術(Magnetic Path Control Technology: MPC)を適用したフレキシブルコイル(コイルの銅パターンに磁性コンポジット材料をキャップ状に塗布)を製作して評価した。MPCコイルは、コイルパターンの端部に鎖交する磁束を減少し、表皮効果・近接効果によって生ずる電流密度の偏りを減少させて、交流抵抗を低減することができる。ISMバンドである13.56 MHzにおけるMPCを適用したフレキシブルコイルと従来のPCBコイルの抵抗値は、それぞれ、 0.30 Ωと0.43 Ωであり、MPCを適用することで抵抗値を約30 %低減した。また、フレキシブルコイルとPCBコイルのQ値は、それぞれ255と183となり、MPCを適用することでPCBコイルと比較してQ値を約40 %向上した。さらに、コイル間距離10 mmの条件下におけるMPCを適用したフレキシブルコイルとPCBコイルのコイル間伝送効率は、それぞれ95.0 %と93.7 %であり、1.3 %伝送効率が向上した。また、MPCを適用したフレキシブルコイルの厚さは0.7 mm,質量は4.55 gであり、PCBコイルと比較して56 %薄型化、質量を82 %軽減した。 (2)バックヨーク コイル間の結合係数を向上させるために、コイルの中心にコアとコイル基板をキャップ状に覆う形状の磁性コンポジット製バックヨークを検討した。バックヨークを配置したコイルの伝送効率は、50 W伝送時において1.2%向上した。また、伝送距離が大きくなるにつれてバックヨークの効果が顕著に表れ、効率が向上した。 上記の結果から、MPCコイルおよびアモルファス球粉を用いたバックヨークは伝送効率向上および長距離での電力伝送に有用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁束経路制御技術(Magnetic Path Control Technology: MPC)を適用したフレキシブルコイルとバックヨークを製作して評価した。おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ISMバンド(6.78 MHz、13.56 MHz)における磁束経路制御技術(Magnetic Path Control Technology: MPC)を適用したフレキシブルコイル、バックヨークの有用性を明確にしており、今後は、Qi規格(伝送周波数110 kHz~205 kHz)においても本手法が有効であることを実証する。
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