非接触給電システムの拡大に伴って、モバイル機器を対象とした国際標準規格、Qi規格がWPC (Wireless Power Consortium) によって策定されおり、送受電コイルは薄型で軽量、かつ高効率であることが必要である。 モバイル機器に搭載する事を想定した場合には占積率の高い平角形状導線を用いるのが好ましいが、表皮効果と近接効果に起因する交流抵抗が伝送効率に影響する。交流抵抗の低減のために一般的に撚り線が用いられているが、平角導線と比較して占積率が悪く、生産コストが高い。これに対して、平角形状導線は、断面形状が長方形であることから、表皮効果や近接効果が丸線と比較して顕著に表れる。 そこで、非接触給電用コイルにおいて表皮効果と近接効果に起因する交流抵抗の低減を図るために、磁性材料を使用した磁束経路制御技術 (Magnetic Path Control Technology) をコイルに適用して交流抵抗の低減および伝送効率向上のためのコイルのQ値の増加を検討した。 その結果、伝送周波数200 kHzにおいて、従来のコイルと磁束経路制御技術を適用したコイルの交流抵抗は、それぞれ445mΩと352mΩで20.9 %低減、また自己インダクタンスは8.1μHと8.5μHで4.4 %増加、さらに、コイルのQ値は22.9と30.2で32 %の増加した。
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