今年度は,単相AC-DCコンバータのシングルステージ化について検討した。これは本課題申請時に予定しており,三相AC-DCコンバータの実証結果を基に取り組んだ。従来の単相AC-DC変換技術は,2段または3段の複数段変換の上,電源の2倍周波の脈流を直流リンク部に含み,平滑フィルタの大型化と低寿命性が問題となる。また,入力電流を不連続モード(DCM )にて動作することが大半であり,単相電源として容量増に制限がある。この技術課題に対する解決策として,フルブリッジインバータを基準として,直流非平滑キャパシタにて電源の倍周波を吸収しながら,平滑直流成分のみ高周波トランス整流器を介して直流負荷へ伝送する原理に基づく単相回路トポロジーを新たに検討した。三相AC-DCコンバータと回路構造が異なり,入力電流は連続モード(CCM)にて動作する。一方,電源電圧および入力電流の検出は必要となる。回路動作の原理とシングルステージ変換,電源電流の力率改善効果(PFC)について,シミュレーションにより評価を行い,単相60Hzの商用電源から50kHzの高周波交流を1段にて変換する原理,第3次以上の高調波の低減と国際規格IEC-61000-3-2のクリア,および負荷電圧制御一定ループの有用性をデータより明らかにした。パワー半導体スイッチのソフト転流動作については未検証であるが,負荷共振または部分共振の適用により実現性は高い。今後,試作器により実証評価する。
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