研究課題/領域番号 |
18H01432
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
五箇 繁善 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (80305416)
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研究分担者 |
和田 圭二 首都大学東京, システムデザイン研究科, 准教授 (00326018)
垣尾 省司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70242617)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 次世代インバータ / ゲート駆動回路 / SAWフィルタ / 多重通信 / ワイドギャップ半導体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,次世代電力変換回路の多重化・高信頼化を実現するために,申請者グループが提案している「弾性表面波(SAW)を用いたゲート駆動回路」の高性能化とマルチレベルインバータへの適用を行い,提案法の実現可能範囲を明らかにすることである. SAWフィルタを用いることでゲート駆動回路に必要となる「電気的絶縁」,「信号多重化」,「高温動作」を可能とするが,実現化を目指し多チャンネル伝送とSAWフィルタの大幅な性能向上を図ることを目標とする. 初年度となる2018年度は,本提案法で一番重要となるSAWフィルタの特性改善に関する研究を行った.具体的な研究内容は次の通りである.①SiO2皮膜による入出力間の電気的絶縁性の向上,②SAW共振器構造による電力伝送改善,③一方向電極構造による伝搬損失の改善である.得られた研究実績を下記に示す. ①に関し,SiO2皮膜を成膜したSAWフィルタを作製し,膜厚による電気的絶縁特性の評価を行った結果,SiO2皮膜による大幅な絶縁性能の向上(3,500V以上)を確認できた.②については,入出力櫛型電極の外側に反射器を配置し,エネルギー伝送に特化した共振器型SAWフィルタを作製した結果,伝送電力の大幅な向上(100mW以上)を確認できた.③に関し,一方向電極構造を有するSAWフィルタの設計・作製を行った.作製したSAWフィルタの伝搬損失が予想以上に増加したため原因を調査した結果,電極に反射率の大きなPt電極を用いた影響が電極抵抗の増加を招いていた事が分かったため,電極抵抗を低下させる別材料の電極を検討することとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね研究計画に従って研究が進んでいる.ただし,「研究実績の概要」に記載した研究内容③に関しては作製に用いた電極材料の電気抵抗が無視できない程大きいことが判明したため,次年度に電極材料の構成を変更することで対応する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
引き続きSAWフィルタのエネルギー伝送量向上に向けた研究を行う.特に,電極の電気抵抗による伝送損失を低減するために,反射特性に優れたPt電極の上に電気抵抗の小さいAl電極を形成することで一方向性電極構造の優位性と低い伝送損失の両立を図る.
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