研究課題/領域番号 |
18H01436
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 博資 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 名誉教授 (30136212)
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研究分担者 |
岩田 賢一 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (80284313)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 準瞬時符号 / 準舜時FV符号 / 準舜時VF符号 / データ圧縮 / 繰り返し最適化手法 / 情報源符号化 / 情報理論 |
研究実績の概要 |
準瞬時FV符号(Almost Instantaneous Fixed-to-Variable length code, AIFV code)の理論,拡張,およびそれらの応用に関して下記のような研究を行うと共に,それらの成果を国際会議や国内研究会等において発表を行なった.具体的には下記のような成果を得ている.なお,本年度発表した国際会議および国内研究会はすべてオンラインで開催されている. (a) AIFV符号化手法を用いたユニバーサルデータ圧縮法を提案し,その性能を計算機実験により評価した.また,その成果を国際会議(IEEE ISIT2020)において発表した. (b) AIFV-m符号の冗長度を,m=3,5の場合に詳しく評価し,AIFV-5符号の最悪冗長度が1/5であることを証明した.また,その成果を電子情報通信学会情報理論研究会および国際会議 (IEEE ISIT2020)において発表した. (c) 2元アルファベティックAIFV-m符号の最適な符号木を構成するアルゴリズムを与え,その最適性を理論的に証明した.また,その成果を国際会議(IEEE ITW2020)において発表した. (d) 2元AIFV-m符号の全ての符号木を列挙する手法を考案し,それに基づき使用している符号木の情報を効率よく2値系列に符号化する手法を与えた.さらに,AIFV-m符号の最悪冗長度が1/mであるという予想に対する反例を与えた.また,それらの成果を電子情報通信学会情報理論研究会において発表した. (e) 本研究課題に関して今までに得られた全ての成果をまとめ,電子情報通信学会誌に解説論文を掲載した.また,電子情報通信学会フォトニックネットワーク研究会の招待講演で,有限マルコフ状態における平均性能の最適化手法に関して詳しい解説を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の「研究実績の概要」の欄に記載したように,「AIFV-m符号化手法に基づくユニバーサル符号」「AIFV-m符号の冗長度」「2元アルファベティック符号の最適な符号木の構成法」「2元AIFV-m符号の全ての符号木を列挙する手法」「AIFV-m符号の最悪冗長度が1/mであるという予想に対する反例」などに関して,多くの新しい重要な成果を得ている. これらのうち,「AIFV-m符号化手法に基づくユニバーサル符号」と「AIFV-m符号の冗長度」の成果は,情報理論の最も権威のある国際会議(IEEE ISIT (International Symposium on Information Theory))で発表し,また,「2元アルファベティック符号の最適な符号木の構成法」に関する成果は,権威のある国際会議(IEEE ITW (Information Theory Workshop))において発表している.なお,本年度発表した国際会議は全てオンラインで開催されている. さらに,本研究課題の今までの全ての研究成果をまとめ,電子情報通信学会誌に解説論文として掲載している.
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今後の研究の推進方策 |
(A) 2020年度に国際会議で発表した「AIFV符号の符号化テクニックを用いた高性能なユニバーサルデータ圧縮符号」「AIFV-m符号の最悪冗長度解析」「2元アルファベティック符号の最適な符号木構成法」などに関して,さらに詳しい解析や改良を行うと共に,符号化手法および理論の洗練化を行う. (B) AIFV-m符号の一般化と,その理論解析,最適な符号木の構成アルゴリズムなどの検討を行う. (C) AIVF符号に対して,繰返し最適化手法と動的計画法を用いて最適な分節木(parsing tree)を求めるアルゴリズムのさらなる改良を行う. (D) AIFV-m符号の符号木の数え上げと,符号木の効率のよい表現法を検討する. (E) 繰返し最適化手法の応用として,無記憶情報源出力を不均一コストを持つ通信路を通して伝送する場合の効率のよい同時情報源通信路符号化手法について検討を行う. (F)その他,研究を行う中で得られたアルゴリズムや理論に関するアイデアを,実際の符号に適用し,さらに符号の性能の改良を進めると共に,理論やアルゴリズムの応用範囲の拡大を検討する.
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