研究課題/領域番号 |
18H01439
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
藤井 威生 電気通信大学, 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター, 教授 (10327710)
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研究分担者 |
稲毛 契 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 助教 (80759506)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | クラウドセンシング / 無線環境データベース / 周波数共用 |
研究実績の概要 |
本研究開発では、異なる無線システムの端末で発生した事象をもとに空間的な干渉状態把握と、無線伝搬状況の高精度な推定を自システム内で観測可能な情報により行い、異システムが互いに緩やかに連携した高効率周波数共用手法の検討を行う。 課題1.クラウドセンシングによる異種システム混在下での無線環境認識に関する研究:本研究開発の核となる技術として、各無線システムが通信中に得た情報をもとに無線環境を高精度に推定する方法の検討を行う。研究初年度として、平成30年度は、空間的に広がる端末を想定し、相互干渉状況にある無線環境を考慮して、各無線システムが通信中に取得可能な情報から、空間的な相互干渉状況や電波到達範囲の予測がどこまでできるかについて、計算機シミュレーションによる検証を開始した。まず、空間的に広がる端末を使ってクラウドセンシングにより観測した結果を基にして、信号の電力分布の予測を行い、その電力分布をクラスタ化することで、多様な無線環境をいくつかのパターンで代表的に分類する方法について検討を行った。次に、無線LAN信号を基に、複数のレイヤで観測できる情報の明確化を行い、多次元情報として利用できる情報を抽出した。これを基に、隠れ端末状態の間接的な観測が可能かどうかの確認を実施している。 課題2.緩やかなシステム間連携による高効率周波数共用手法の研究:年度後半には、無線環境認識結果をもとにしてエッジサーバが周囲の無線システムに対して、緩やかなシステム間連携を促す手法についての研究を開始した。各システムの要求条件と無線環境認識結果をもとに、帯域占有率や相互干渉の状況に対応して、チャネル、トラヒック量の上限値、時間制限、キャリアセンスレベルなどの通信パラメータの制御を行うことで、効率的な周波数共用を行うための基盤に関して研究者間で意見交換を行い次年度から行う本格研究の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の計画に従って研究が進んでいる。「課題1.クラウドセンシングによる異種システム混在下での無線環境認識に関する研究」に関しては、クラウドセンシングによって得られた信号の分布をクラスタリングすることで、情報を利用しやすくするための手法の検討をまず行っている。加えて、無線LAN信号に着目して複数のレイヤに渡ってどのような情報が得られるかを整理し、自律分散システムにおける相互干渉で最も影響が大きい隠れ端末状態を間接的に観測できる手法の検討を行っている。「課題2.緩やかなシステム間連携による高効率周波数共用手法の研究」では研究者間での意見交換により、次年度以降の本格研究のための、フレームワークを整理した。これらはほぼ計画通りの研究進捗であり、次年度以降も着実に研究成果を出していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究と同様に、研究分担者および連携研究者と定期的に進捗報告会を開き、相互に連携した研究活動を強化する予定である。初年度に得られた研究成果については積極的に対外発表を行う予定である。
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