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2019 年度 実績報告書

災害復興時のドローンを用いたメッセージ集配信システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 18H01445
研究機関大阪市立大学

研究代表者

原 晋介  大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80228618)

研究分担者 小野 文枝  国立研究開発法人情報通信研究機構, ワイヤレスネットワーク総合研究センターワイヤレスシステム研究室, 主任研究員 (20385537)
松田 崇弘  首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (50314381)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードテンソル再構成 / 運搬経路問題 / ドローン / データ収集
研究実績の概要

大阪市立大学内の建物で囲まれた空間において,受信信号電力の3次元分布を測定する実験を行った.建物の複数個所に送信機を設置し,ドローンの代わりにポールの先端部分に受信機を取り付け,3次元空間の水平および垂直方向に約2m間隔で格子点を打ち,それら格子点上で受信電力を測定した.この測定実験により,3次元空間を密にサンプルして得られる場合の理想的な受信電力のマップが構成できた.
この構成した3次元受信電力マップをランダムかつ疎にサンプルし,サンプルされたマップからテンソル再構成を用いて全体のマップを再構成する方法を提案しその特性を評価した.さらに,密にサンプルして構築した受信電力マップ,ランダムかつ疎にサンプルした受信電力マップおよびランダムかつ疎にサンプルし再構成した受信電力マップから,すべての送信機に対して受信電力がなるべる大きくなるようなデータ収集点を決定する問題を定式化し,それに対するいくつかの解法を提案しそれらの特性を評価した.
上で述べた方法でドローンがホバリングしデータを収集する点が決定できたと仮定し,その次に,複数のデータ収集点に対する経路決定問題を定式化した.風速と風向およびドローンの水平対気速度に対するエネルギ消費量の関係を考慮に入れて,経路長最小化問題として定式化し,その解法として挿入法を修正する方法を提案しその特性を評価した.
ドローンを2機制作し,そのうち1機を屋内および屋外で飛行させ,ホバリング時ならびに水平移動時の水平対気速度に対するエネルギ消費量を測定する実験を行った.また,ドローンのペイロード重量を変化させ同様の測定実験を行った.これらにより,ドローンの水平対気速度に対するエネルギ消費量の実験式を導出した.この実験式を経路長最小化問題の中で実際に用いて解を求めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

受信信号電力マップの3次元テンソル再構成問題の解法については,テンソルの低ランク性と平滑性のバランスを制御できる,新しいアイデアを出して効率よく解く方法を提案できた.3次元空間を疎かつランダムにサンプルし,再構成した全体の受信電力マップを使い,受信電力が大きくなるような点をデータ収集点として選択することにより,受信信号電力のセンシングからデータ収集までの時間を大きく減少させることができる方法を提案できた.この方法の計算量は,受信信号センシング点数に線形増加する.
「受信信号電力の測定間隔は,測定領域の建物の3次元空間分布と関係がある」との仮説を立て様々検討を行ったが,よい結果はこれまで得られていない.建物の3次元空間分布の相関関数の取り扱いが難しく,相関値と測定間隔との間の明確な関係がまだ見いだせていない.
ドローンに特有の要因である,短い運用時間と風速/風向の影響を考慮に入れた経路決定問題を効率よく解く方法を提案できた.
2020年1月からは新型コロナウイルスの影響でドローンの飛行実験が思うようにできなかったので,制作した2機目のドローンについては,水平対気速度に対するエネルギ消費量の実験式が導出できていない.

今後の研究の推進方策

3次元受信電力マップの構築とそれを用いたデータ収集点の決定については,実験結果と計算機シミュレーション結果が出そろったのでそれぞれで論文にまとめる.ドローンを用いた受信電力測定実験は,大阪市立大学構内で行いたいと思っている.
「受信信号電力の測定間隔は,測定領域の建物の3次元空間分布と関係がある」との仮説はもう少し検討を続ける.空間分布の自己相関関数から計算できる電力スペクトルからサンプリング周波数を求めるアプローチをとってみる.
ドローンの経路決定問題はさらに効率よく解く方法を検討する必要がある.挿入法と焼きなまし法を組み合わせる方法を検討する.
ドローンのデータ収集点決定と経路決定を同時に解く方法に挑戦する.ヒューリスティックに解く方法しか思いついていないが,これはドローンに固有の連続値の最小化問題になる.
1機目と2機目のドローンでは,重量とローター数が異なるため,2機目のドローンについても測定実験を行って,水平対気速度とエネルギ消費量の実験式を導出する.
最終的に,水平対気速度とエネルギ消費量の異なる2つの実験式を用いて,大阪市住吉区のような具体的な地域を指定し,ドローンの経路決定問題を解く.

  • 研究成果

    (23件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] A Tensor Completion-Based Selection Method of a Single Data Collection Point for Multiple Shelters in a UAV Enabled Disaster Recovery Network2020

    • 著者名/発表者名
      Azusa Danjo, Shinsuke Hara, Takahiro Matsuda, Fumie Ono
    • 雑誌名

      Proceedings of SPACOMM 2020

      巻: - ページ: 1-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] グラフラプラシアンを用いた通信品質マップ推定2020

    • 著者名/発表者名
      松田崇弘, 小野文枝, 原 晋介
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告CCS2019-35

      巻: - ページ: 5-8

  • [雑誌論文] UAVによる災害時メッセージ集配信システムにおける面心立方格子構造を用いたテンソル再構成に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      檀上梓紗, 原 晋介, 松田 崇弘, 小野文枝
    • 雑誌名

      2020年電子情報通信学会総合大会論文集

      巻: - ページ: A-17-7

  • [雑誌論文] 通信システムにおける圧縮センシングを用いたトモグラフィ技術2019

    • 著者名/発表者名
      松田崇弘, 原 晋介
    • 雑誌名

      映像情報メディア学会誌

      巻: 73 ページ: 445-450

  • [雑誌論文] 移動端末による観測に基づく逐次推定型無線トモグラフィの位置推定への応用2019

    • 著者名/発表者名
      松田崇弘, 福田健人, 小野文枝, 原 晋介, 児島史秀, 三浦 龍
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告CQ2019-10

      巻: 119 ページ: 1-6

  • [雑誌論文] Sequential Radio Tomographic Imaging Using Mobile Measurement Nodes2019

    • 著者名/発表者名
      Kento Fukuda, Takahiro Matsuda, Fumie Ono, Shinsuke Hara, Ryu Miura, Fumihide Kojima
    • 雑誌名

      Proceedings of The 2019 IEEE International Conference on Consumer Electronics - Taiwan

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1109/ICCE-TW46550.2019.8992006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 大規模災害時のドローンを用いた情報通信ネットワークの臨時構築2019

    • 著者名/発表者名
      原 晋介
    • 雑誌名

      日本機械学会誌

      巻: 122 ページ: 520-521

  • [雑誌論文] 大規模災害時のドローンを用いた情報通信ネットワークの臨時構築2019

    • 著者名/発表者名
      原 晋介
    • 雑誌名

      電子情報通信学会誌

      巻: 102 ページ: 520-521

  • [雑誌論文] グラフラプラシアンを用いた受信信号強度マップの逐次推定手法2019

    • 著者名/発表者名
      松田崇弘, 小野文枝, 原 晋介, 児島史秀, 三浦 龍
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告CS2019-41

      巻: 119 ページ: 127-132

  • [雑誌論文] 移動端末を用いた観測に基づく無線トモグラフィの性能改善2019

    • 著者名/発表者名
      福田健人, 松田崇弘, 小野文枝, 原 晋介, 児島史秀, 三浦 龍
    • 雑誌名

      2019年電子情報通信学会ソサイエティ大会論文集

      巻: - ページ: B-11-5

  • [雑誌論文] UAVによる災害時メッセージ集配信システムにおける テンソル再構成を用いたデータ収集地点決定法2019

    • 著者名/発表者名
      檀上梓紗, 原 晋介, 松田崇弘, 小野文枝
    • 雑誌名

      MIKA 2019

      巻: - ページ: -

  • [雑誌論文] A Tensor Completion-Based Message Collection/Delivery Point Determination Method for Users in a Disaster-hit Area2019

    • 著者名/発表者名
      Azusa Danjo, Shinsuke Hara, Takahiro Matsuda, Fumie Ono
    • 雑誌名

      Proceedings of IWCCM 2019

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] An Optimal Routing Method for Wireless Message Collection/Delivery System Using an Unmanned Aerial Vehicle in a Large-scale Disaster2019

    • 著者名/発表者名
      Atsuki Murata, Azusa Danjo, Shinsuke Hara, Takahiro Matsuda, Fumie Ono
    • 雑誌名

      Proceedings of IWCCM 2019

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [学会発表] A Tensor Completion-Based Selection Method of a Single Data Collection Point for Multiple Shelters in a UAV Enabled Disaster Recovery Network2020

    • 著者名/発表者名
      Azusa Danjo, Shinsuke Hara, Takahiro Matsuda, Fumie Ono
    • 学会等名
      The Twelfth International Conference on Advances in Satellite and Space Communications
    • 国際学会
  • [学会発表] グラフラプラシアンを用いた通信品質マップ推定2020

    • 著者名/発表者名
      松田崇弘, 小野文枝, 原 晋介
    • 学会等名
      電子情報通信学会複雑コミュニケーションサイエンス研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] UAVによる災害時メッセージ集配信システムにおける面心立方格子構造を用いたテンソル再構成に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      檀上梓紗, 原 晋介, 松田 崇弘, 小野文枝
    • 学会等名
      2020年電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] 移動端末による観測に基づく逐次推定型無線トモグラフィの位置推定への応用2019

    • 著者名/発表者名
      松田崇弘, 福田健人, 小野文枝, 原 晋介, 児島史秀, 三浦 龍
    • 学会等名
      電子情報通信学会コミュニケーションクオリティ研究会
  • [学会発表] Sequential Radio Tomographic Imaging Using Mobile Measurement Nodes2019

    • 著者名/発表者名
      Kento Fukuda, Takahiro Matsuda, Fumie Ono, Shinsuke Hara, Ryu Miura, Fumihide Kojima
    • 学会等名
      2019 IEEE International Conference on Consumer Electronics - Taiwan
    • 国際学会
  • [学会発表] グラフラプラシアンを用いた受信信号強度マップの逐次推定手法2019

    • 著者名/発表者名
      松田崇弘, 小野文枝, 原 晋介, 児島史秀, 三浦 龍
    • 学会等名
      電子情報通信学会通信方式研究会
  • [学会発表] 移動端末を用いた観測に基づく無線トモグラフィの性能改善2019

    • 著者名/発表者名
      福田健人, 松田崇弘, 小野文枝, 原 晋介, 児島史秀, 三浦 龍
    • 学会等名
      2019年電子情報通信学会ソサイエティ大会
  • [学会発表] UAVによる災害時メッセージ集配信システムにおける テンソル再構成を用いたデータ収集地点決定法2019

    • 著者名/発表者名
      檀上梓紗, 原 晋介, 松田崇弘, 小野文枝
    • 学会等名
      MIKA 2019
  • [学会発表] A Tensor Completion-Based Message Collection/Delivery Point Determination Method for Users in a Disaster-hit Area2019

    • 著者名/発表者名
      Azusa Danjo, Shinsuke Hara, Takahiro Matsuda, Fumie Ono
    • 学会等名
      IWCCM 2019
    • 国際学会
  • [学会発表] An Optimal Routing Method for Wireless Message Collection/Delivery System Using an Unmanned Aerial Vehicle in a Large-scale Disaster2019

    • 著者名/発表者名
      Atsuki Murata, Azusa Danjo, Shinsuke Hara, Takahiro Matsuda, Fumie Ono
    • 学会等名
      IWCCM 2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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