研究課題/領域番号 |
18H01448
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
内一 哲哉 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (70313038)
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研究分担者 |
SEBALD GAEL 東北大学, 高等研究機構等, 客員教授 (10792161)
三木 寛之 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (80325943)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 磁気計測 / 非破壊試験 / 鉄鋼材料 / 塑性ひずみ / 残留応力 |
研究実績の概要 |
本研究では、新たに見出された渦電流磁気指紋信号を炭素鋼の塑性ひずみの非破壊評価に適用することを検討する。炭素鋼の塑性ひずみと残留応力による渦電流磁気指紋信号の変化のメカニズムを解明するために以下の検討を実施し、明らかにした。 渦電流磁気指紋信号測定システムを構築し、渦電流磁気指紋信号を取得した。磁コイルにより試験片を準静的に磁化させ、各磁化状態での動的な磁場摂動による応答を上置コイルのインピーダンスを測定した。塑性ひずみを与えることにより、インピーダンス平面上での軌跡(渦電流磁気指紋信号)の方向が逆転するとともに、軌跡の形状が変化することを明らかにした。また、引張り試験機により応力を負荷した状態で測定を行った結果、渦電流磁気指紋信号の変化は圧縮応力による磁気特性の変化であることを明らかにした。 上記のメカニズムを検討するために、3次元電磁場解析コードに、時間依存のBH構成関係Bertotti モデル)を与えて、シミュレーションを実施したところ、現象の再現に成功した。したがって、磁区周辺に誘導されるミクロ渦電流がこの現象を支配していることを明らかにした。応力による渦電流磁気指紋の変化については、応力による磁区構造の変化により、ミクロ渦電流の寄与が変化しているためと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定システムの空間分解能を向上させる必要が生じ、計画変更を行ったが、その結果本研究でメカニズムを検討している渦電流磁気指紋信号を正確に捉えることができ、メカニズムを明らかにできたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
渦電流磁気指紋信号のメカニズムのさらなる解明のためには、試験片表面加工による局所的な残留応力の影響を明らかにすることが必要である。今後、電解研磨による加工層の除去や、X線回折による応力評価を行い、メカニズムを進めていく予定である。
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