研究課題
非接触給電システムにおける電磁波漏洩の抑制や電気電子機器・デバイス間の電磁波干渉による誤動作の防止を念頭として、kHz帯域からGHz帯域までの超広帯域電磁波吸収を実現する鉄基スピンナノクラスターハイブリッド材料の創製と磁気損失発現機構の解明を目指す。最終年度となる今年度、純鉄および酸化鉄ナノ粒子のハイブリッド材料について、共凝集体を作製し、その複素磁化率の温度依存性を中心に磁気的挙動を詳細に調べた。熱分解法で得られた純鉄ナノ粒子の平均粒径は電子顕微鏡像から11.1±0.88 nm程度であった。また、ポリオール法で得られた酸化鉄ナノ粒子の平均粒径は4.6±0.73 nmであった。一定量の純鉄ナノ粒子、あるいは、酸化鉄ナノ粒子を特定の一定量の非水系溶媒中に超音波で分散させ、極性溶媒を添加し共凝集を行った。純鉄-酸化鉄ハイブリッド材料における電子顕微鏡断面観察の結果から、一部の酸化鉄ナノ粒子が純鉄ナノ粒子間に配列した状態が観察され、共凝集法によってハイブリッド材料が実現できていることを示唆している。また、47Hzの交流外部磁界に対する複素磁化率の温度依存性の結果から、強磁性―超常磁性転移を示す磁化のブロッキング温度は、純鉄ナノ粒子で145K、酸化鉄ナノ粒子で25Kであるのに対し、純鉄-酸化鉄ハイブリッド材料では、223Kと大幅に上昇し、室温付近でも磁化のブロッキング現象が発現できる可能性を見出した。ブロッキング温度の大幅な上昇は、純鉄-酸化鉄ナノ粒子間で働く磁気双極子相互作用に起因するものと考えられる。今後、粒径の増大や粒子間距離の短距離化などで磁気双極子相互作用をさらに大きくすることによって、室温近傍まで上昇させ、室温近傍での磁気損失発現に繋がる可能性が考えられる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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