研究課題
提案者は、近接場光の空間的に非一様な光の場(非一様光場)の特長を活かすことで、従前の光応答では不可能であった新奇かつ有用な光励起が可能であることを実証してきた。伝搬光で動作する現状の光デバイスに対して、非一様光場を動作原理に用いることが出来れば、従来とは本質的に異なる新奇光機能デバイスの創生が期待できる。具体的な近接場光の特徴の一つとして、光の持つ局在性によって得られる大きな波数成分を活かした波数励起がある。この特性によって、間接遷移半導体であるシリコンにおいて光吸収の高効率化が期待される。昨年度までにpn接合フォトダイオードに対して、近接場光源として金微粒子を散布することで、受光感度の上昇を確認している。さらに、励起波長依存性から、シリコンバンド端付近での上昇率が大きくなることから、波数励起による受光感度上昇を示唆する結果といえる。これまでの測定では基板全体での平均的な電場増強効果を測定していた。そこで、今年度は、金微粒子近傍での近接場光励起の様子を明らかにするために、pn接合フォトダイオ接合ードの電極間に対し顕微分光法を用いた感度評価を行った。作製した横型pn接合を有するpnフォトダイオードに対して、直径100nmの金微粒子を塗布し、波長1.06umの光励起時における、光励起電流の顕微分光評価を行った。その結果、金微粒子存在付近での光電流は確かに増大しているという結果が得られた。
2: おおむね順調に進展している
顕微分光系の立ち上げを終了し、局所的な感度評価が可能となった。また、波長特性の評価に関して、より細かい波長分布を調べる計測系を構築した。上記の改良によってこれによって、これまで観測できなかった近接場光光源近傍での光吸収特性を明らかにすることに成功した。
これまで、金微粒子を用いて波数励起を発生していたが、感度を上昇させるためには、金微粒子の密度を向上させる必要があった。しかし、密度を上昇させるに伴い、pn接合面を遮光することになり、感度の向上に繋がらなかった。そこで、金微粒子を用いない手法の開発を行う。具体的には逆スパッタリングなどによってpn接合面にナノ寸法の凹凸を作製する。これによって高密度に近接場光光源を作製することででき、さらなる感度上昇が期待される。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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