研究課題/領域番号 |
18H01475
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田辺 克明 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60548650)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 半導体接合 / ウェハ貼り合わせ / ダブルヘテロ構造 / 単原子層材料 / グラフェン / 機能性材料 / 光電子デバイス |
研究実績の概要 |
Si/グラフェン/Si構造を作製し、層間の機械的(30 kPa程度)、電気的(5.0 Ω-cm2以下)接続を確認した。このように、世界初となる単原子層材料をコアとするダブルヘテロ構造の作製に成功した。特に、材料系(Si、C)の環境負荷の低さとシリコンクラッドによる電流及び光の制御性の高さを特徴として挙げることができる。この新規構造の導入により、単原子層材料中に光及び電子の強い閉じ込めができるようになるため、デバイス動作の著しい高効率化が期待される。また、今回のような半導体クラッドの採用により、従来の単原子層材料の片面保持素子構造に比べ、より堅牢な素子をもたらす。以上のように、本構造は、次世代の超低消費電力・高速ナノエレクトロニクスの実現に向けた技術的基盤の一つであると言える。 電圧印加をした際、Si/BLG/Si,Si/Si両試料で5~20%程度の透過率の波のような増減が観測された。一定の周期をもって変化していることから、電圧印加で試料温度が上昇し、接合界面中の粒子によりできた空洞(ボイド)が膨張したことにより発生した干渉波である可能性がある。この他に,Si/BLG/Si,Si/Siに大きな差は見受けられず、本条件ではバンドギャップは発現しなかったと考えられる。原因は、①接合界面の電気抵抗値が構造中の他の部分に比べ小さい②電源機器の出力が小さい、といった理由により、グラフェンに十分な電圧が印加されなかったことが考えられる。 また、接合界面の電流-電圧特性の測定を行ったところ、Si/Siは左右対称な特性を示しているのに対し、Si/BLG/Siでは一方向には電流が流れやすいダイオードの特性を示した。先行研究よりグラフェン/シリコンの接触がダイオード性を示すことが報告されており、これにより、接合界面にグラフェンが存在することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所望の単原子層材料を介した初めての半導体接合法に成功し、接合界面の機械的、電気的、光学的評価を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
単原子層材料を介した半導体接合技術の開発の発展とともに、透明導電性材料、波長変換材料といった他の機能性材料を介した半導体接合技術の開発を行う。
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