研究課題
基盤研究(B)
光通信波長帯1.5 umで発光・受光機能を示す新規光材料である鉄シリサイド半導体(β-FeSi2)を研究対象とし,その発光機能の向上を目的に第3元素添加による電子構造制御に関する研究を実施した.その結果,Feの一部を同族元素のRuで置換したβ-(Fe1-xRux)Si2の作製に成功し,x=0.57までの高濃度Ru添加が可能であることを見いだした.そして,Ru添加により目的とした電子構造変化を誘起し,1.5 um発光強度が増大することをはじめて明らかにした.
半導体光物性
現在の光ファイバー光通信で用いられる波長1.5 um帯の半導体レーザーは希少金属や有害物質を含有した材料で作製されている.本研究では,地球上に豊富に存在し,人体に無害な元素で構成される新規光半導体の光通信応用を念頭に,既存機能の代替だけでなく,新機能発現のための学術研究を実施した.従来物質と大きく異なる電子構造をシリサイド半導体は有しており,本研究では,その電子構造を第3元素添加により制御可能であることを見いだした学術的意義がある.