研究課題/領域番号 |
18H01494
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
河合 晃 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (00251851)
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研究分担者 |
加藤 有行 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (10303190)
進藤 怜史 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (90826223) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フォトレジスト / 高分子集合体 / 原子間力顕微鏡 / リソグラフィ / 電子デバイス / 半導体集積回路 / スピンコート / ラインエッジラフネス |
研究実績の概要 |
世界の電子デバイス分野を牽引してきた微細加工(リソグラフィ)技術は、2018年度はメモリゲート幅が7nm台の微細サイズとなり、2022年には実用化の領域へ入る。このサイズは加工用マスクである高分子材料の分子量に由来する凝集サイズの最小値に匹敵している。特に、マスクパターンの側面のライエッジラフネス(LER)やパターン剥離・変形(LWR)によるデバイス精度の低下が顕著になり、微細加工技術の限界に達している。今後の高集積かつ高機能デバイスの実現には、高分子凝集揺らぎの抑制が必要不可欠である。本研究では、この凝集ゆらぎの原因となるナノ高分子集合体の凝集機構を解明するとともに、ナノスケール配列技術を確立し、数ナノメータの解像度の高精度な3次元ナノ構造用のリソグラフィ技術を確立する。特に、有機アルカリ現像液の浸透、膨潤等の多くのプロセス要因から高分子材料の凝集形態の限界を追求し、ナノフラットの配列技術を確立する。これにより微細加工精度が飛躍的に向上し、わが国の先端電子デバイス開発力を強く牽引する。本研究は、数ナノメータクラス解像度のリソグラフィを実現するために、低分子量化の流れと熱力学的平衡状態に抗って、ナノフラットの高分子凝集構造を実現するものであり、世界的に例のない先進的・独創的なものである。本研究期間では、高集積・高機能電子デバイスサイズと高分子集合体サイズとの相関の明確化、リソグラフィ制御の技術課題と高分子構造の明確化、ナノスケールでの高分子材料設計および制御技術の指針の確立、ナノ吸着水の利用技術として、有機アルカリ現像液と高分子構造との浸透膨潤挙動のモデル化を実施し、定量的な評価結果を創出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、研究代表者の開発した凝集体の付着凝集性解析手法をベースに、 戦略的なチーム構成により、レジスト材料の表面凝集形態を高精度に解析し、有機アルカリ現像液の溶液浸透、膨潤等による高分子集合体の配列制御を行い、凝集形態の限界を追求しナノフラット配列技術を確立に必要な基礎データを取得した。そして、数ナノメータクラスの解像度の高精度リソグラフィ技術を実用化する。本研究では、以下の成果を創出する。そこで、本研究では有効な凝集制御プロセスおよび計測技術を導入し、4つの研究課題に対して、研究 グループ体制により機能的研究を進めている。 第1に、アルカリ現像下におけるレジスト材料と集合体ラフネスとの相関を明確にしている。熱力学的平衡に基づく高分子集合体の凝集過程を明確にする。AFMの微細探針による凝集性解析法(インデント、マ ニピュレーション、吸着、剥離)およびXPSを駆使して、膜凝集性を解析する。これにより、 高分子集合体の凝集挙動を明確にできている。第2に、複合球凝集モデル(拡張Derjaguin型)による高分子集合体のナノフラット凝集モデルを構築している。加熱、紫 外線、アルカリ水溶液の浸透膨潤等の凝集因子を明確にする。 これにより、ナノスケール集合体とナノ空間の凝集モデルを 確立する。第3に、超純水制御による表面吸着水制御によるナノフラット化を進めている。溶存アルカリ及び水素イオン濃度制御により高分子集合体内への浸透を制御し、膨潤性をコントロールする。これにより、ウェット制御によるナノフラット化を 実現する。第4に、スピンコート法による連続場におけるシェア応力 場での自己組織化パターンの発生機構を解明し、連続膜の保 持要因を明確に進めている。最終的に、自己組織化を阻止するた めのパラメータ閾値を明確に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果を踏まえて、有機アルカリ現像中の現象解明に注力していく。これまでのレジスト材料の表面凝集形態を高精度に解析し、熱、表面エネルギー、溶液浸透、膨潤等による高分子集合体の配列制御を行い、凝集形態の限界を追求しナノフラット配列技術を確立する。特に、本研究では、以下の成果を創出する。レジストパターン表面にぞんざいする難溶化層について、ナノスケールでの高分子材料設計および制御技術を確立する。 さらに、吸着水の利用技術として、溶液の浸透解析として、高分子構造における新規制御と計測技術を確立する。また、高分子凝集面のナノフラット面は、パターン加工解像度が5nm以下に入ることで、分子動 力学的な構造解析からも、安定したフラット面の形成が困難である。そこで、凝集制御プロセスおよび計測技術を導入し、以下の研究課題に対して、研究 グループ体制により機能的に解決策を現実化する。 固液界面において、水素結合を主体としたレジスト材料と集合体ラフネスとの相関を明確にする。これにより、有機アルカリ分子と高分子集合体の相互作用に基づいて凝集挙動を明確にする。第2に、集合体モデルとして、膨潤を考慮した複合球凝集モデル(拡張Derjaguin型)による高 分子集合体のナノフラット凝集モデルを確立する。加熱、紫 外線、アルカリ水溶液の浸透膨潤等の凝集因子を明確にする。 第3に、超純水制御による表面吸着水制御によるナノフラット化を実現する。溶存アルカリ及び水素イオン濃度制御により高分子集合体内への浸透を制御し、膨潤性をコントロールする。第4に、基板の表面エネルギーを制御することにより、スピンコート法による連続場におけるシェア応力場での自己組織化パターンの発生機構を解明し、連続膜の保 持要因を明確にする。
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