研究課題/領域番号 |
18H01496
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
森 雅之 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (90303213)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ALD / Al2O3 / GaSb単分子層 / 積層順 / pMOSFET / GaSb |
研究実績の概要 |
装置メーカーから借用していた原子層堆積装置(ALD)装置を用いて、装置の問題点を洗い出し、これらを改善した新規のALD装置を用いて、Al2O3絶縁膜を様々な堆積温度で作製し、そのI-V特性およびC-V特性の評価を行った。また、ALD装置の特徴の1つである、アスペクト比の高い基板表面にも均一に堆積できることを確認するため、1um/1um間隔のラインアンドスペース構造を形成したSi基板上にAl2O3膜を堆積し、SEM観察を行った。これにより、新設したALD装置で、アスペクト比の高い表面にも均一にAl2O3薄膜が堆積可能であることが分かった。 成長の初期に形成するInSb及びGaSb単分子層の面積比を変化させた場合、その上に成長させたInGaSb薄膜が、下地の単分子層の面積比の違いによらず、全ての試料においてSi基板に対して回転せずに双晶となる。この原因を明らかにするため、単分子層の積層順を、Ⅲ族元素→Ⅴ族元素、からⅤ族元素→Ⅲ属元素と変更したが、同様の結果となった。このことから、GaSb単分子層では、InSb単分子層とは異なり、原子がSi-Ga-Sbの順に積層していると考えられる。 Si(111)基板上に単結晶GaSb薄膜を成長させ、これを用いてpMOSFETの試作を行い、特性評価を行った。この際、GaSb薄膜の作製条件を変えて、双晶がある試料と無い試料を用いて双晶の有無によるデバイス特性への影響についても検討することとした。しかし、いずれの試料においてもトランジスタ特性を示さなかった。今後より多くのデバイスを作製しながら原因の究明を行っていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新設のALD装置の納入が11月初旬となったため、当初の予定より堆積条件の最適化や界面準位密度の評価の実験に遅れが生じた。 また、我々の表面再構成制御成長法では、成長中のRHEEDパターン観察により、成長中の原子の堆積量や蒸着レートを、また、赤外線放射温度計により真空中に設置された試料の温度を見積もる。しかし、これらのRHEED装置や赤外線放射温度計が故障し、10月初頃まで新たな試料作製ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、試料サイズが6×13㎜と小さくMOSFETの作製工程において、条件を振ると、その条件の数だけ試料を用意しなくてはならない。しかし、InSb系薄膜の作製において、できる限り成長条件が変わらないよう注意を払っているものの、作製した試料の特性が微妙に異なる。このため、デバイスの特性の違いが、プロセスによるものか、試料自体特性の違いによるものか、判断できない。より大きなサイズの試料を作製できるよう装置の改造を検討する。
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備考 |
ICIEV BEST PAPER AWARD (El Track)
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