研究課題/領域番号 |
18H01497
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
香川 景一郎 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (30335484)
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研究分担者 |
津村 徳道 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00272344)
小室 孝 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10345118)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マルチアパーチャカメラ / CMOSイメージセンサ / マルチタップ / 機能的生体イメージング |
研究実績の概要 |
今年度は,まず近赤外感度を高めた市販センサを使って8波長計測(2眼は波長幅の狭い低感度波長930nmに割り当て)可能なマルチスペクトル複眼カメラを試作した.また,複眼画像から視差を除去し,全ての個眼像を位置合わせするためのアルゴリズムを確立した.マルチカメラでよく用いられるステレオキャリブレーションはパラメータの推定誤差が大きいため,画像情報から直接位置合わせする方法を検討した.周波数領域イメージングのために,モンテカルロシミュレーションによるルックアップテーブルの作成を行うとともに,多波長の吸収係数画像から生体色素濃度を推定するためのフィッティング法を開発した.以上のアルゴリズムを前述の市販センサを用いた複眼カメラに適用し,シリコーンファントムを用いてその有効性を確認した.また,計測対象に構造光を投影してその3次元形状を計測し,対象の表面上で縞の間隔が均等になるような正弦波パターンを生成・投影する手法を実装し,実際のプロジェクタ・カメラシステムを用いて動作を確認した.研究室で以前開発した電荷排出機能付き4タップ画素センサを用い,8倍速で正弦波を投影し,3位相画像に加えて環境光画像を撮影して減算することで,被写体の動きに強く照明光下でも生体の吸収・減衰散乱係数の2次元マップがリアルタイム計測可能であることを実証した.多重露光レーザスペックルコントラスト法に基づく血流速さの2次元マップを前述の現有4タップ画素センサを用いて実証した.3×3眼の複眼イメージセンサのための電荷排出機能をもつ4タップをデバイスシミュレータを用いて開発した.画素ピッチ11.2μm角とし,電荷転送速度を比較するために,異なるフォトダイオードサイズのテスト画素を設計した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市販センサを用いたシステムを開発するとともに,必要な一連の画像処理アルゴリズムを開発し,その機能を実験的に検証した.現有4タップ画素センサを用いて吸収・減衰散乱係数2次元マップのリアルタイム計測に成功し,実験的にマルチタップセンサの有効性を示すことができた.イメージセンサ開発は画素開発に留まっているが,概ね順調に進んでいる.レーザスペックルコントラストに基づく血流速さ計測についても,現有4タップ画素センサを用いて実証に至っており,総合的にはおおむね順調に進んでいると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度設計したイメージセンサを試作し,その特性を計測する.実験データに基づき選択・改良した画素を用いて複眼イメージセンサを設計する.昨年度試作した市販センサを用いた複眼カメラを用いて,レーザースペックル血流速さ計測と,吸収・減衰散乱係数計測を融合し,これらの同時計測を実現する.ファントム,被験者を用いた実証についても引き続き準備を進める.
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