研究課題
非線形光学結晶のガリウム砒素(GaAs)を下地基板としたマイクロ流路チップと数アレイのメタアトムを利用して様々な生体関連試料の高感度計測の可能性について検討を行った。透過計測と反射計測の両方が行える専用の計測システムを構築し、イオン、糖類、タンパク質(DNA)、生体組織をサンプルとして取り上げ計測を行った。その結果、それぞれの溶液において、ピコリットル&サブフェムトモルの感度で濃度の分析が行えることが分かった。また反射測定についても透過測定と同様にメタアトムの共振応答の観測ができ、溶液などの微量計測が行えることが分かった。また、透過測定よりも反射測定の方が高感度に測定できることも分かった。これは、反射測定ではGaAsとサンプルの界面からのみの情報を高感度に取得できているのに対し、透過測定はサンプルとの相互作用長が大きくなるためである。生体組織の計測では乳癌組織片を取り上げ、プラスチック基板に作製した薄切サンプルをGaAsチップに向かい合わせて貼り合わせることで、高感度な分光とイメージングが行えることが分かった。この計測でも、透過よりも反射測定の方が高感度で計測できることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
計測手法を詳細に検討したことで、前年度作成したチップの性能をさらに向上させ、高感度な計測が可能となった。溶液ベースのサンプルから生体組織サンプルまで様々な種類のサンプルに対し、本チップを利用することで高感度かつ局所的な分光評価とイメージング評価ができることが分かった。
チップに関してはマルチセンシングが可能な形式への展開を加速させており、準備的データが出始めている。これらの計測プロトコルを確立させ、よりダイナミックな分光分析を行っていく。特に分子量の大きな糖類の高感度検出や、タンパク質の加水分解、癌組織由来の癌細胞株の分析などを対象に研究を進めていく。また夾雑物中でも高感度で選択的な検出が行えないかについて、メタアトム構造の最適化も踏まえながら検討する。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件)
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