研究課題
・カルコゲナイドダブルクラッドファイバの作製に成功して帯域幅が2~14μmに広がる中赤外高コヒーレントSC光の発生に世界で初めて成功したが、励起波長が10μmであった.励起光源として実用的なファイバレーザで励起可能な2から5μmにするため、新規ファイバ構造の探索を行い、コアの周囲にコアと屈折率の異なるカルコゲナイドガラスロッドを配置した全固体カルコゲナイドを考案して、その波長分散特性の解析を行った.その結果、カルコゲナイドガラスの光透過域全体で正常分散を取り得るファイバ構造があることを明らかにした.当該ファイバのSC発生特性を解析した結果、5μm以下の波長で励起した場合でも広帯域高コヒーレントSC光の発生が可能であることを明らかにした.さらにそのファイバ実現を進めた.・赤外光領域においてファイバ分散が正常分散であり、分散値零に近くなるファイバ構造を探索するため、コアの周囲にコアと屈折率の異なるテルライトガラスロッドを配置したハイブリッド微細構造光ファイバ構造の最適化を行った.その結果,テルライトガラスの透過域全体で正常分散がとれる構造があることを明らかにし、2μm励起で1~5μmの波長域で高コヒーレントSC光が発生できることを示した.・テルライト反共振型中空コア光ファイバの作製に成功し,中赤外光を反共振反射効果により伝搬することが確認した.さらに低損失中赤外光伝搬が可能になるファイバ構造の最適化を進めた.・これまで実現されていない10μm以上の波長の赤外イメージ伝送を実現することを目指して、カルコゲナイドガラスを用いたランダム断面構造光ファイバ中で光を局在化させる構造を設計しその実現に初めて成功して、カルコゲナイドランダム断面構造光ファイバを用いた赤外イメージ伝送の確認に成功した.この結果を受けイメージの高解像伝搬が可能となるランダム断面構造光ファイバの構造探索を進めた.
1: 当初の計画以上に進展している
広帯域波長分散制御新構造の全固体カルコゲナイド微細構造光ファイバを考案し、さらにそれを実現し、これまでにない短波長域励起により広帯域な高コヒーレント中赤外SCの発生に成功した. さらに,当該構造をテルライト微細構造光ファイバに適用して、2μm励起による強度変動の抑制された高コヒーレント中赤外SC光の発生に成功した.当初予定していなかったテルライト反共振型中空コア光ファイバの特性改善も進み、またカルコゲナイトランダム断面構造光ファイバも初めて実現して,カルコゲナイト光ファイバの新たな応用領域を拡大できた.これらの成果は、カルコゲナイド光ファイバやテルライト光ファイバの新たな可能性を示すものであり,今後の研究展開の発展に大きく資するものであると考える.
PCF構造と波長分散特性の相関に関する解析結果を基に,近赤外域励起による中赤外領域での高コヒーレント光の発生を実証する.さらに,研究成果を高効率広帯域波長変換や広帯域パラメトリック増幅,さらには低雑音相関光子対生成等への応用への展開を目指す.そのために下記の項目の研究を推進する.・PCF素材候補としてAsSeS系ガラスを用い,波長分散が制御された多層コア構造ハイブリッドPCFを実現する.ガラスの組成を調整することにより,各層間の屈折率差も制御できる.このガラスはSeとSの組成比を変えることにより,0.5以上の屈折率差が実現でき,多層コア構造のハイブリッドPCFの素材として使用できる.組成による屈折率分散の変化を測定しつつ,最適組成を見極め,高コヒーレント光発生のための波長分散特性を有するハイブリッドPCFを実現する.最適組成を見極め,高コヒーレント光発生のための波長分散特性を有する多層コア構造のハイブリッドPCFを実現する.さらにテルライトガラスも用いて波長分散が制御された多層コア構造ハイブリッドPCFを実現する.・カルコゲナイドハイブリッドPCF構造の持つ自由度の高い波長分散特性の制御性により,四光波混合を用いて結晶では実現できない超広帯域波長変換を目指す.1から2μmの近赤外光パルスや光周波数コムを実現したPCFに入射させ、20μmの中赤外域まで及ぶこれまでに実現されていない狭帯域高コヒーレント光や広帯域コヒーレント光発生の実現を目指す.
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 10件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 19件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 28件、 招待講演 6件)
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