研究課題/領域番号 |
18H01518
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
松本 泰尚 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90322023)
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研究分担者 |
森原 崇 石川工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (10413767)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 環境振動 / 振動評価 |
研究実績の概要 |
本研究は,橋梁振動に起因する地盤振動による建物の共振によって起こる環境振動問題に関して,人間の心理的応答に基づく合理的な環境振動評価法を構築することを目的としている.建物の共振に起因する環境振動は,交通状況に応じた過渡的な水平方向の振動が支配的となる場合や,それに鉛直方向の振動が複合する場合が多い.また,同時に発生する騒音が振動の評価に影響する可能性も指摘されている.本研究では,実験室内の加振装置を利用して振動実験を実施し,実際の環境振動の特徴を念頭に置いて条件設定した振動に対する人間の心理的応答を測定して,振動の物理量に基づき心理的応答を適切に評価できる方法を検討する.得られた成果は,合理的な環境振動の評価に基づく問題の効率的解決や,現行の環境振動評価法の改定に資する知見となることが期待できる. 本年度は,【課題3】過渡的水平振動暴露の評価および【課題4】水平-鉛直振動同時暴露の評価について振動実験を実施し検討した.実験では,前年度【課題2】で測定した実際の居住空間での環境振動を振動実験の入力として用い,実験参加者の振動に対する心理的な反応を前年度【課題1】で構築した心理学的尺度により測定した. 【課題3】について,過渡的水平振動に対する心理的な反応は,時間とともに変化する振動の振幅や振動数に依存するが,振動数の影響を既往の研究に基づく振動数重み付け特性により評価し,振幅の時間変化の影響を振幅aの4乗と振動継続時間tの積が一定となるときに心理的な反応が同等となる評価方法により,過渡的水平振動に対する心理的反応を適切に評価できることを示した. 【課題4】水平-鉛直振動同時暴露の評価については,上述の評価方法で水平振動,鉛直振動をそれぞれ単独で評価した際に同等の評価となるような条件で,心理的な反応への水平振動と鉛直振動の複合的な影響が見られることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の通り,本年度実施する予定であった,【課題3】過渡的水平振動暴露の評価および【課題4】水平-鉛直振動同時暴露の評価の2課題はおおむね順調に進展した. 【課題3】過渡的水平振動暴露の評価については,振動実験結果に基づきその適切な評価方法を示した.その結果は,国内外の学会研究発表会で発表予定である他,学術誌への論文投稿を準備中である. 【課題4】水平-鉛直振動同時暴露の評価については,振動実験により水平振動と鉛直振動の複合的な影響を評価において考慮する必要性を示した.その結果は,国内学会の研究発表会で発表予定である.一方,実験で用いた条件が限定されていたため,次年度以降に追加的な実験を実施することを予定している.
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今後の研究の推進方策 |
今後2か年で以下の課題実施を計画している. 2020年度には,【課題5】振動・騒音同時暴露の評価を実施する.振動とそれに関連する騒音が同時に生じる場合の評価に関する被験者実験を行う.課題3,4で用いた振動に騒音を付加した条件設定とし,騒音が振動評価に与える影響について検討する. 2021年度には,【課題6】包括的な環境振動評価法の構築を実施する.課題3~5の検討結果に基づき,振動の評価に与える騒音の影響も考慮した包括的な環境振動評価法の構築を試みる. なお,上述のとおり,【課題4】水平-鉛直振動同時暴露の評価に関しては,一定の成果は得られているものの,実験条件がやや限定的な範囲にとどまっているため,追加的な検討を2020年度および2021年度に行い,より適用範囲の広い成果とすることを目指す.
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