研究課題/領域番号 |
18H01525
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
下里 哲弘 琉球大学, 工学部, 教授 (90452961)
|
研究分担者 |
田井 政行 琉球大学, 工学部, 助教 (70646596)
押川 渡 琉球大学, 工学部, 教授 (80224228)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 腐食 / 高力ボルト / 連結板 / 防食 / 解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、鋼構造物の構造部位の中において激しく腐食し、その腐食度によっては構造安全性の低下が危惧される高力ボルト継手構造を対象として、腐食した高力ボルト継手構造の実用的な耐力診断法の構築および腐食した高力ボルト継手構造の高耐久性の防食補修技術の開発を目的としている。 今年度は、実橋で腐食した高力ボルトの腐食減肉形状の計測と残存軸力を計測し、これまでに蓄積した残存軸力データと合わせてボルト残存軸力評価法の精度等を分析した。また、FEM解析により、腐食減肉形状と残存軸力の相関分析を行った。その結果、ボルトナットおよび頭部の座金近傍の腐食減肉量と残存軸力との相関性が向上した。 次に、連結板特有の腐食減肉形状が継手耐力に与える影響に関する研究として、継手耐力の追加実験とソリッド要素を用いた弾塑性FEM解析を行い、腐食した連結板の荷重伝達メカニズムを明らかにし、実腐食減肉形状を有する連結板と残存耐力評価法を分析した。その成果は学術論文に投稿した。 さび除去効果を持つアルミナと犠牲防食効果を持つ亜鉛の混合粉体を用いた新たな防食技術であるCS技術の適用性に関する研究として、さび除去の困難なボルト角部や連結板とボルト境界部の局所に残存するさび状態下に対する防食性能に関する基礎的実験結果の分析を行った。また、塩水噴霧試験にて腐食促進させ自然電位差を計測し、防食性を検証した。なお、腐食した鋼部材に対するCS補修の防食性能の検証として、腐食環境の厳しい鋼桁端部にCSを施した部位の3年経過後の追跡調査を行った。特に、高力ボルトのナット角部と同じ条件であるフランジ角部に着目して追跡調査を行った。その結果、腐食の再発はなく良好な防食性を有していることを確認した。その成果の一部は学術論文に投稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実橋で腐食した高力ボルトの残存軸力を計測し、これまでに蓄積した残存軸力データと合わせてボルト残存軸力評価法の精度を分析した。 連結板特有の腐食減肉形状が継手耐力に与える影響に関する研究として、継手耐力の追加実験とソリッド要素を用いた弾塑性FEM解析を行い、腐食した連結板の荷重伝達メカニズムを明らかにし、実腐食減肉形状を有する連結板と残存耐力評価法を分析した。 さび除去効果を持つアルミナと犠牲防食効果を持つ亜鉛の混合粉体を用いた新たな防食技術であるCS技術の適用性に関する研究として、さび除去の困難なボルト角部や連結板とボルト境界部の局所に残存するさび状態下に対する防食性能に関する基礎的実験結果の分析を行った。また、腐食した鋼部材に対するCS補修の防食性能の検証として、腐食環境の厳しい鋼桁端部にCSを施した部位の3年経過後の追跡調査を行った。高力ボルトのナット角部と同じ条件であるフランジ角部において、腐食の再発はなく良好な防食性を有していることを確認した。
|
今後の研究の推進方策 |
腐食減肉形状に応じたボルト残存軸力評価法および継手耐力に与える影響を明らかにし、腐食した高力ボルトおよび連結板の取替え判定に適用可能な耐力診断法の構築する。 さび除去効果を持つアルミナと犠牲防食効果を持つ亜鉛の混合粉体を用いた新たな防食技術であるCS技術に関する腐食促進実験研究を推進し、さび面に形成する防食皮膜の密着メカニズムの解明と防食性の検証を行う。そして、腐食した高力ボルト継手部の実用的且つ高耐久性の防食補修技術法を提案する。
|