研究課題/領域番号 |
18H01526
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
橋本 隆雄 国士舘大学, 理工学部, 教授 (40628814)
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研究分担者 |
酒井 久和 法政大学, デザイン工学部, 教授 (00360371)
池本 敏和 金沢大学, 地球社会基盤学系, 講師 (60311677)
宮島 昌克 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (70143881)
若井 明彦 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (90292622)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 熊本地震 / 熊本城 / 石垣 / 補修 / 復旧対策 / 振動実験 / 城壁 |
研究実績の概要 |
本研究では、石垣の崩れた原因を非破壊検査や物理探査を用いて把握し現状と復旧対策工法の実験及び解析手法により最適な補強方法を提案し、熊本城修復工事に適用することを目的としている。当該年度に実施した研究は、文化庁、熊本市、防災科学技術研究所の協力により既存の石垣と新たな補強対策を行った石垣の比較のために石垣模型の振動台実験及び解析を行い、崩壊メカニズム及び耐震性能を明らかにするなど十分な成果を上げることができた。 (1)石垣の施工法についての石垣模型施工実験:熊本城石垣の崩壊部及び孕み部を想定して、具体的な模型を構築して各補強材料を用いた工法を開発または組み合わせながら最適な工法について現場施工引抜き試験等により、補強土の効果を確認する必要がある。そこで、岡部株式会社総合実験センターで、①石塁崩壊部の補強対策であるジオテキ巻き込みモデル(アンカーあり)、②石垣孕み部の補強対策である筒状固結工法モデル(アンカーあり)の施工実験を行い、その効果の検証ができた。 (2)石垣の補強対策の振動台模型実験:石垣構造の挙動は剛体ではないため解析では難しいために、実物大の石垣で大きな地震動を加え、その挙動を振動実験により崩壊現象のメカニズムを検証する必要がある。そこで、国立研究開発法人防災科学技術研究所の大型振動台で①手積みモデル、②粒度調整栗石モデル、③ジオテキ巻き込みモデル(アンカーあり)、④介石補強モデル、⑤はらみモデル、⑥筒状固結工法モデルについての実物モデルを構築して石垣模型実験を行い、効果を検証した。 (3)石垣の挙動について高度な解析:石垣モデルの各補強対策の効果確認のために、上記(2)の石垣模型実験結果を解析で検証する必要がある。そこで解析は、石垣の形状・粒径・特質が異なる互層構造を先端の数値シミュレーション解析を用いて行い、各補強工法の効果検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度まで実施した研究は、熊本城の復旧対策箇所を優先して、以下のSTEP③12)までの調査・実験・解析を行い十分な成果を上げることができた。現在は、13)石垣補強策工法マニュアルの策定を行っている。 【STEP①】最先端の非破壊検査や物理探査の技術を用いて、石垣の崩れた原因を明らかにした。1)熊本城の石垣被害箇所の全体について位置、形状、被害形態等について調査した。2)熊本城の石垣被害全体から特に大きな被害を受けたモデルとなる地区を選定し、石垣修理履歴も考慮した調査を行った。3) 3Dレーザー沈下・はらみ等の変位量をグラフィックにした。赤外線カメラを用いて石垣の沈下による隙間・はらみ・浮きの状態を把握した。4)微動アレイ探査により地山の固い地盤か盛土等の柔らかい地盤かが明らかとなった。表面波探査により、旧河川があることが明らかとなった。電気探査により、百閒石垣付近に断層があることが明らかとなった。5)石垣の被害原因について整理・分析を行った。 【STEP②】2016年熊本地震を再現した石垣模型の振動台実験及び解析を行い、崩壊メカニズムを明らかにした。6)擁壁の形状、地盤の状況、入力地震動の推定を設定した。7)崩壊箇所の石垣及び地盤構造の模型を作成し、振動実験を行い崩壊現象のメカニズムを検証した。8)先端の数値シミュレーション解析手法により再現できるかの検証を行った。9)実験と解析を踏まえて、崩壊原因となるメカニズムを明らかにした。 【STEP③】石垣間に補強土を用いた石垣模型の振動台及び実物大施工・引抜きの実験、解析による修復工法の検証を行った。10)石垣補強工法の選定を行った。11)石垣補強工法の模型実験:崩壊箇所をジオテキスタイルで補強した模型実験を行った。変状箇所を地山補強土などで修復した際の実験を行った。12)石垣補強工法の模型実験の検証、補強間隔・長さ、他工法の検証を行った。
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今後の研究の推進方策 |
現在、【STEP③】13)石垣補強策工法マニュアルの策定を行っている。一方、文化庁から1)伝統的建造物群保存地区も含めた栗石が少ない石垣の補強方法の開発、2)熊本城だけでなく全国で使用できる補修・補強指針の策定、3)「熊本城石垣耐震診断指針」に必要な地震力の策定、に協力してほしいとの依頼があった。また、熊本市からは、熊本城の今後の石垣の復旧するに当たって、孕み状況と耐震性能から復旧の優先度についての分析及び防災科研の実験結果から宇土櫓孕み部についての耐震性分析の協力依頼があった。そこで、今後の研究は、計画の(1)以外の(2)~(4)についても行う。 (1) 全国版の「文化財石垣の補修・補強マニュアル」の策定:1)補修・補強工法の選定フローの作成、2)熊本地震からの入力地震動(kh)の設定、示力線による簡易な方法による安定性解析手法の開発、を行う。 (2) 石垣の施工法についての石垣模型施工実験:石垣の孕み部及び耐震性能が無いものの補強対策を想定して、具体的な模型を構築して各補強材料を用いた工法を開発または組み合わせながら最適な工ついて現場施工引抜き試験等により、補強工法の効果を確認する。 (3)石垣の補強工法の振動台実験:石垣模型の振動実験は、金沢大学で従来工法の石垣と並行して石垣補強モデル構造の模型を作成し、振動実験を行い、補強効果現象のメカニズムを検証する。 (4)石垣の挙動について高度な解析:石垣モデルの各補強対策の効果確認のために、実験データを用いた熊本城宇土櫓の現状の孕み状況について防災科研の石垣実験結果等を用いて解析で耐震性能を検証する。解析は、石垣の形状・粒径・ 得失が異なる互層構造を先端の数値シミュレーション解析手法である個別要素法、三次元FEM法を用いて行う。
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