研究課題/領域番号 |
18H01527
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
野村 卓史 日本大学, 理工学部, 特任教授 (50126281)
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研究分担者 |
吉田 昭仁 東京工芸大学, 工学部, 教授 (90329219)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 風災害 / 飛来物 / 衝撃力 / 数値流体解析 / 風洞実験 |
研究実績の概要 |
1.飛来物の飛翔解析のための ALE 有限要素法に基づく構造流体相関解析法 飛来物の3次元回転運動を扱うために独自の3次元球状スライディングインターフェースを開発している。前年度に球状内部解析領域と解部解析領域との間の球面インターフェースの相互マッピング方法を実現した。今年度はこの球面インターフェースを ALE有限要素法に基づく構造流体相関解析法に組み込むことに注力した。基礎的段階で得られた重要な成果として:(1)節点流速と節点圧力の直接的接続条件では節点圧力を除外するべきことが明らかになった。(2)節点トラクションの接続条件の寄与が非常に大きいことが明らかになった。非線形計算の収束を早くする必要があることが課題である。 2.飛来物の飛翔と衝撃力に関する風洞実験 強風によりエア遊具等が飛翔し,遊具内の子供の怪我や死亡事故が発生している。この飛翔による衝撃力を評価すること,エア遊具の飛翔事故を減らすことを目的とし,今年度は以下の2点について,研究を実施した。(1) エア遊具を固定するために用いられているポリタンクやペグ等の簡易杭の耐力評価を行い,飛散発生風速の推定式を提案した。通常エア遊具が屋外に設置される際には,ポリタンクや簡易杭を用いて固定している。ペグの長さ,地盤の状況,降雨の有無など種々の状況において,ペグの引張り試験を行い,耐力評価を行った。この試験で得られた耐力および風洞実験で求めた風力係数を用いて,エア遊具の飛散発生風速推定式,必要付加荷重の簡易推定式を求めた。(2) 3Dプリンタを用いて飛散物体を作成し,飛翔実験を行う研究計画に基づき,前年度実施した基本球体を3Dプリンタで作成し風洞における予備実験を実施した。引き続き大型飛翔物体を作成して飛翔実験を行う予定であったが,新型コロナウイルスの影響もあり実験ができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.飛来物の飛翔解析のための ALE 有限要素法に基づく構造流体相関解析法 剛体を対象とした解析法の完成をめざしたが,球面上スライディングインターフェースに関する非線形計算の収束の仕方が遅いので解析アルゴリズムの開発に時間を要している。加えて新型コロナウイルスの影響により通常より研究開発の効率が落ちた。 2.飛来物の飛翔と衝撃力に関する風洞実験 購入した3Dプリンタを用いて風洞実験で飛翔させるための基本形状物体を作成した。前年度までの飛翔特性との比較を行うため,厚さの異なる球体の作成を試みたが,用いた材料の特性を把握するのに時間がかかり,風洞実験を行う時期が年度末となってしまった。加えて年度末には新型コロナウイルスの影響により,大学内での実験が制限されたため,進捗状況としてはやや遅れていると評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
1.飛来物の飛翔解析のための ALE 有限要素法に基づく構造流体相関解析法 非線形計算の収束の問題は遅いとはいえ収束しているので収束を早くする方策はある。次年度に処理能力が高いワークステーションを購入し,解析法の開発プロセスを迅速化し,本来の開発スケジュールへの復帰を目指す。 2.飛来物の飛翔と衝撃力に関する風洞実験 予定よりも風洞実験の実施が遅れていることもあり,令和2年度は早い段階で風洞実験による飛翔実験を行う予定である。また,風洞実験と並行して,前年度に購入した3Dプリンタを用いて,異なる形状(エア遊具等)の物体を製作する。年度後半では種々の形状を用いた飛翔実験を行う予定である。
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