研究課題/領域番号 |
18H01528
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡部 要一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00371758)
|
研究分担者 |
佐々 真志 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (10392979)
椋木 俊文 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (30423651)
西村 聡 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70470127)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 締固め / 骨格構造 / せん断特性 / 侵食特性 / 盛土 |
研究実績の概要 |
盛土材料の性能を最大限に引き出すことを研究目的と位置づけ,含水比(締固め飽和度)と乾燥密度で特徴づけられる締固め状態に着目し,せん断特性や侵食特性と関連付けることを本研究を遂行するにあたっての基本方針としている.河川堤防を想定して塑性のある細粒分を含んだ盛土材と,宅地盛土を想定して非塑性の細粒分を含んだ盛土材を研究対象とした. 河川堤防盛土材では,締固め条件を種々変化させて準備した試料に対して,三軸CU試験を実施した.その結果,(1)同一密度に締め固めた場合には,乾燥側よりも湿潤側の締固め条件の方が高いせん断強さを発揮すること,(2)締固め度の増加よりも締固め飽和度の増加の方が強度への影響が大きいこと,(3)湿潤側の締固め条件の場合は乾燥密度が高い方がより大きな負の過剰間隙水圧が発生してせん断強さが高くなることなどが示された. 河川堤防盛土材に対しては,ウォータージェットを用いた小型の侵食試験機を用いて侵食特性も調べた.当該試料は中程度の侵食特性を呈するが,試料の締固め状態によって,すなわち,乾燥密度と骨格構造によって侵食特性に違いが現れることを明らかにした. 一方,宅地盛土材料については,火山灰質土を対象とし,締固め状態とせん断特性,液状化特性,並びに内部侵食特性とせん断特性に与える影響を調べた.その結果,(1)同一密度に締め固めた場合には,乾燥側過ぎても湿潤側過ぎてもせん断強さが低下し,強度が最大になる最適含水比が存在すること,(2)同程度の締固め飽和度の場合には,締固め度が高いほどせん断強さが高くなることが示された. また,締固め度が高い試料よりも,締固め度が低い試料の場合には内部侵食が起こりやすく,内部侵食がなければ正のダイレーションを示す試料であっても,内部侵食が発生するときわめて緩詰め状態となるため,負のダイレーションを示すように変化することが分かった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は河川盛土のみを対象としてその耐侵食性に着目しようと考えていたが,一昨年発生した北海道胆振東部地震を機に,液状化被害を受けた宅地盛土も類似のアプローチが有効であると判断し,土骨格と内部侵食が力学特性に与える影響にも着目して研究を進めている.その結果をトータルで見れば,塑性・非塑性の細粒分をそれぞれ有する締固め土の力学特性,外部侵食特性に加えて,内部侵食特性にも着目した研究を遂行できており,より対象範囲の広い充実した研究になっている.
|
今後の研究の推進方策 |
一連の研究において,試験条件として抜けている部分を充実させるとともに,骨格構造と侵食特性や力学特性についてもっと踏み込んだ検討を行う予定である.
|