研究課題/領域番号 |
18H01532
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大竹 雄 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90598822)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 信頼性解析 / 信頼性設計 / 施工時情報 / ベイズモデリング / スパースモデリング / 信頼性更新 / 構造物基礎 / 河川堤防 |
研究実績の概要 |
道路橋示方書(以下,道示と呼称)が,平成30年1月に性能設計概念に基づく信頼性設計へ改定されることが公表された.本研究は,この新しい設計の考え方を施工中や供用中の地盤構造物管理へ拡張する実用化研究である.施工中や供用中に追加される情報(追加調査,構造物点検・検査,災害時の変状や痕跡など)に基づいて,新設設計時に想定されていた不確実性を継続的に低減させることにより,構造物の信頼性を更新・向上させ,多様性のある効果的な意思決定を支援する方法を提案したいと考えている.具体的には, 1)欧米における実態調査と情報収集, 2)個別施設向け性能評価法(詳細法)/施設群向け性能評価法(簡易法)の開発, 3)実データによる事例研究の実装, の3つの課題に対して,道示改定に深く関わった経験を活かして実用性の高い研究を推進する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)欧米からの情報収集整理,2)理論構築が概ね完了し,3)事例研究による実装と有効性検証の段階に入っている.昨年度は下記の2つの視点に力点をおいて研究を推進した. (1)データベースの構築:研究を推進する上で,良質な大規模データベースを構築することが最も重要な作業となる.杭メーカーの協力により,様々な現場における杭基礎の施工時情報を収集整理し,大規模なデータベースを構築することができた.また,河川堤防については,一級河川堤防35km両岸の形状や地盤調査,過去の被災履歴等のデータを収集しデータベース化することができた.これらは主として,紙面で整理されたデータであり,これを電子化し研究に用いることができる状態に変換する作業に予算を活用した. (2)事例研究:現在は下記の2つのテーマについて実データに基づいた事例研究を実施している. 次年度は研究最終年であり,これらの研究成果を国内外へ公開するために,学術論文として取りまとめることに注力する予定である. ①杭基礎(回転杭)の施工時情報を用いたリアルタイム信頼性解析法及びCIMとの連携方法 ②河川堤防の信頼性解析に基づく流域のリスクの定量化と意思決定の高度化へ向けた考察
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今後の研究の推進方策 |
研究成果を特に海外へ向けて発信したいと考えている.研究助成により,国際的な情報収集が加速し,事例研究に資する貴重な大規模データベースを構築することができた.この知見および資料を十分に活用し,社会実装させるために,国内外へ学術論文を執筆し積極的な投稿を行う予定である. また,データベース構築を通じて,国土交通省や民間メーカーとの連携体系が整備できたため,研究成果の実用化へ向けて,ディスカッションを行い,理論の実装部分に力を入れる予定である.
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