研究課題/領域番号 |
18H01534
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小峯 秀雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90334010)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高レベル放射性廃棄物地層処分 / ベントナイト / 膨潤 / 自己シール性 / 模型実験 |
研究実績の概要 |
ベントナイト系緩衝材の自己シール性を定量的に評価することを目的として,周辺岩盤,緩衝材,廃棄物収納容器およびそれらの間の隙間部分を模擬した模型実験を実施し,緩衝材が膨潤変形により隙間を充填した後に発生する圧力(以下,「緩衝材発生圧力」と記述)と緩衝材 ・処分孔壁間の境界部に通水が確認される水圧(境界部通水圧)との関係を実験的に調査するための第一次試験を開始した. 平成30年度は,早稲田大学地盤研が保有する膨潤特性試験装置を援用して,キャップと供試体の間に隙間を設けた一次元自己シール性試験を実施した.特に,地質年代的に超長期の時間経過により,ベントナイト系緩衝材が膠結作用により固結した場合を想定した自己シール性能を調べた.上記の膠結作用を受けたベントナイト系緩衝材を模擬したベントナイト原鉱石の一次元自己シール性能を調べたところ,膠結作用により,自己シール性能の発揮に時間を要するものの最終的には有効な自己シール性能を発揮することが実験的に明らかになった. また,自己シール性能を通水試験により定量化する試験の予備試験として,膨潤セル部に土圧計やタクタイルセンサーを組み込んだ膨潤特性試験装置を活用して,吸水および膨潤挙動の伴い発生する鉛直方向と側方方向のベントナイト系緩衝材の発生応力の測定と,材料仕様ごとおよび境界条件ごとに発生応力データベースを試作した. また,研究代表者が提案しているベントナイト系緩衝材・埋戻し材の膨潤特性理論評価式を用いた自己シール性能の観点からの仕様設計手法を提案し,著名な学術誌であるCanadian Geotechnical Journalへの掲載が決定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した計画に沿って,順調に研究展開できている.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,膨潤特性試験装置を援用し,キャップと緩衝材供試体部分との間に所定の隙間を設定した一次元の自己シール試験を実施する.供試体には,締固めたベントナイトと超長期の時間経過を経た緩衝材を模擬したベントナイト原鉱石と共に温度履歴を受けたベントナイトなどへ展開する. さらに,処分孔壁と緩衝材の接触部分を模した試験装置を試作し,その接触部に通水し,緩衝材の発生圧力と通水量の変化に関する相関性を定量的に測定することにより,緩衝材の自己シール性の定量評価を試みる.考した隙間を設けて処分孔内における緩衝材の境界条件を模擬した実験概念を具体化した装置を構築し,緩衝材の自己シール性を定量評価できる手法を構築する. 具体的には,膨潤特性試験装置を援用し,キャップと緩衝材供試体部分との間に所定の隙間を設定した一次元の自己シール試験を実施する.供試体には,締固めたベントナイトと超長期の時間経過を経た緩衝材を模擬したベントナイト原鉱石を用い,自己シール性の定量評価とともに ,超長期時間経過が自己シール性に及ぼす影響を定量評価する. さらに,処分孔壁と緩衝材の接触部分を模した試験装置を試作し,その接触部に通水し,緩衝材の発生圧力と通水量の変化に関する相関性を定量的に測定することにより,緩衝材の自己シール性の定量評価を試みる. 上記の試験では,ベントナイトの種類(モンモリロナイト含有率と乾燥密度の観点から評価)を数種類用い,かつ,乾燥密度を変動させて実験を行うことにより,自己シール性の発揮に及ぼすベントナイトの種類と乾燥密度の影響を調べる.
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