研究課題
本研究は,高レベル放射性廃棄物地層処分に工学的に資することを念頭に,バリア材としてのキーコンポーネントであるベントナイト系緩衝材に求められる技術要件の自己シール性について定量評価することを目的としている.本研究では,上端面吸水による一次元膨潤変形試験,膨潤圧試験と自己シール性測定実験を実施し,得られた各種データベースに基づき自己シール性南野定量評価方法を提案した.具体的に得られた研究成果は以下の通りである.1)膨潤変形試験では,上端面吸水による一次元膨潤変形試験では最大膨潤変形率は既往研究とおおむね一致した.また含水比・乾燥密度分布において,吸水面からの距離が小さい箇所では試験開始直後から含水比および乾燥密度に大きな変化が生じ,測定期間が長くなるに従い吸水面からの距離が大きい箇所でも変化が生じた.一定期間経過後,供試体のすべての箇所で試験後含水比は約150 %に,試験後乾燥密度は約0.6 Mg/m3になった.2)自己シール性測定実験では,発生圧力の発現に4つの段階が生じ,それぞれ隙間幅や吸水方法の影響がみられた.また含水比・乾燥密度分布において,測定期間による影響は小さかったが,測定期間が長い供試体ほど供試体内の含水比・乾燥密度が一様になる傾向が若干みられた.また隙間を設置した箇所の変化が著しい傾向があった.3)膨潤変形および自己シール時の水分拡散係数は1×10-8~4×10-8 m2/sであり,既往研究と比較して大きな値となった.これは吸水方法による影響と考えられる.4)以上の成果に基づき,ベントナイト系緩衝材の自己シール性能の定量評価方法を構築し提案した.本研究で得られた成果は,自己シール性の観点からのベントナイト系緩衝材の設計に寄与できると考えられる.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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