研究課題/領域番号 |
18H01536
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研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石井 建樹 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (60400280)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 微視クラック / 蛍光樹脂含浸 / 岩石 / 可視化 |
研究実績の概要 |
本研究は,岩石内部に含まれる微視クラックの三次元的な形状を明確にして,それらを取り入れた数値シミュレーションを構築することで,その結果から岩石破壊力学における新しい知見を見出そうとする研究である. 本年度は,岩石に内在する微視クラックを可視化するために,プラスティネーション技術と蛍光樹脂含浸法を融合する蛍光プラスティネーション法について検討した.具体的には,その手始めとして,岩石へ安定的に樹脂を含浸するために,樹脂選定.含浸条件・手順を試行錯誤して,安定的な樹脂含浸法の構築を目指した.その結果として,粘性の低い樹脂の選定を行って花崗岩へ含浸したところ,岩石内部への含浸は容易に実施できる結果を得た.一方で,花崗岩では,内部に石英を含むことから断面全体が発光してしまうような試験体も多く見られてしまった.これについては,含浸温度等の条件をより厳密に管理するとともに,蛍光撮影等の技術を応用して,適切な撮影方法を構築するなどして今後克服しなければならない.次年度の主な研究課題である. また,岩石内部の微視クラックの三次元分布を観察するために,樹脂を含浸した試験片を段階的に研磨・研削して, その断面を 逐次撮影する手法を確立するために,研磨時に鉱物組織および樹脂を破損させることなく研磨研削可能な装置を導入し,適切に研磨可能であることを確認した. さらに,数値計算環境の整備を進め,画像より複雑な形状を取得して数値解析モデルを生成し,そのモデルに対してき裂進展解析を一貫して実施できるシステムの構築を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
蛍光樹脂を岩石へ含浸し,その観察面を研磨する手法については,当初の計画通りに実施できている一方で,岩石内部に含まれる鉱物の性質によっては,樹脂の発光状態を適切に撮影できないという課題が新たに明らかとなった.そのために,より厳密な含浸条件の洗い出しや,撮影方法への工夫を取り入れる必要があり,当初得られる予定であった結果より,進捗が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究遂行により,岩石内部に存在する微視クラックのみを発光させる,あるいは,発光の強弱までを撮影可能な撮影方法を構築する必要がある.撮影方法の構築は,当初から2年目に検討する研究課題であったが,本年度の結果から,蛍光撮影等の技術を応用する必要が出てきており,その機材選定から再考し直すことが必要である.また,利用する樹脂についても,併行して調査・検討を進め,より容易な観察方法も模索する.以上2点を,喫緊に克服すべき研究課題として取り組み,研究を推進していく.
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