研究課題/領域番号 |
18H01559
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
竹林 幹雄 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80236497)
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研究分担者 |
大西 正光 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10402968)
石倉 智樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (30356050)
石黒 一彦 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (60282034)
宋 娟貞 大阪大学, 経済学研究科, 助教 (70803203)
花岡 伸也 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (90467027)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 航空輸送 / ゲートウェイ / 需要予測 / 政策分析 |
研究実績の概要 |
平成30年度は以下の基礎研究を中心に行った. (i) 日本-東南アジア航路を対象に,2003年,2008年,2013年の3時点のデータを用いた経路選択モデルにより日本荷主の海上輸送ニーズの変化について分析,考察した.その結果荷主は3時点を通じて国内輸送コストを重要視しておりこの低減が東南アジア航路政策において重要であること,海上輸送時間と寄港頻度のトレードオフなど航路体系の変化が荷主の選好に影響を及ぼしている可能性があることを明らかにした.(ii)Bi-levelモデルを用いて国際航空旅客動態調査のデータを用い,日本発東アジア方面への国際航空旅客の行動分析を行うとともに,航空輸送と新幹線輸送を組み合わせることにより,首都圏空港の混雑を緩和できるような第2ゲートウェイ空港を形成することが可能であることがわかった.(iii)ASEAN地域における航空自由化によってもたらされる航空輸送産業の生産性向上・価格低下を想定し,その経済効果について検討した.具体的には,航空輸送産業の生産性向上およびそれに伴う価格低下の効果が,産業連関効果を通じて,各国各産業部門の生産額変動に及ぼす影響を応用一般均衡分析により評価した.(iv)空港,航空会社,トリップチェーン旅客の3者の行動を考慮した最適化モデルを構築し,北海道の複数空港一括民営化を事例として,空港会社利潤最大化および社会的総余剰最大化を目的として評価した.また,バンコクのスワンナプーム空港を対象に,改良したNetScanモデルを用いて航空貨物のコネクティビティを評価した.(v) 近海貨物輸送分析の一環として,東アジアの港湾を対象として従来型コンテナ港湾と自動化コンテナ港湾の効率性評価をDEAにより行った結果,資本効率性の観点からは,自動化コンテナターミナルは必ずしも効率的ではないという結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画した(i)国際貨客輸送における特性分析,(ii)分析の基本となる数理計画モデル(ネットワーク分析モデルならびに経済評価モデル)の開発,(iii)航空輸送と新幹線(high-speed rail/HSR)との競合・協調に関する分析,に関してはほぼ計画通りに遂行することができ,研究実績にも示すようにジャーナルを中心として成果を発表することができた.ただし,貨物輸送(物流)に関しては,近海海上貨物輸送も含め,今後大きな変化が予想されることから,サプライチェーンの変化に着目した分析が必要と判断した.このため,2019年度でも引き続き分析を行う必要ができたため,「概ね順調に進展している」と評価するに至った.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度では継続研究となったサプライチェーンの変化に着目した国際物流分析を進めるとともに,計画時に示した「東アジア・ASEAN地域発着アジア太平洋市場を対象とした政策分析」と「政策シミュレーションに基づくわが国拠点空港のゲートウェイ機能強化策の検討」の2つの課題のうち,政策分析を行うための研究を中心に行うこととする.具体的には(i)複合型輸送ネットワークモデル構築のために開発したネットワーク分析モデル,政策分析の効果を予測するための経済評価モデルといった数理計画モデルの拡張,特に大規模計算を実施することができるようなアルゴリズムの改善も含めたモデルの拡張を行う.(ii)政策分析に必要な東アジア・ASEANにおける貿易政策を中心にレビューを行い,想定しうる状況について整理を行う.以上の2点を中心に研究を進展させる計画である.
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