研究課題/領域番号 |
18H01563
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
田中 成典 関西大学, 総合情報学部, 教授 (50268330)
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研究分担者 |
窪田 諭 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (60527430)
今井 龍一 東京都市大学, 工学部, 准教授 (90599143)
中村 健二 大阪経済大学, 情報社会学部, 教授 (70556969)
山本 雄平 関西大学, 先端科学技術推進機構, 特別任命准教授 (10560485)
塚田 義典 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (50622643)
姜 文渊 関西大学, 先端科学技術推進機構, 特別任命助教 (20804008)
井上 晴可 関西大学, 先端科学技術推進機構, 特別任命助教 (20804024)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 空間計測 / UAV / レーザ計測ユニット / 点群解析 / GNSS |
研究実績の概要 |
本研究では、レーザスキャナ搭載UAVによる高所からの空間計測技術の高度化と実用化を目的として、平成30年度は、次のA)およびB)に関する研究を遂行した。 A)UAV搭載レーザ計測ユニットの再開発及びユニット計測技術の確立 本研究では、地上レーザスキャナの製造実績のある電機メーカーと、IMUやGNSSの製造メーカーとの共同でレーザ計測ユニットのプロトタイプを試作した。本ユニットでは、GPSタイムを利用することで、各センサ機器を同期する技術を開発した。また、電機メーカーの協力のもと、計測したデータをユニット内に記録する機構を構築した。そして、本ユニットを用いたUAV計測を行い、地上レーザスキャナを正解データとして計測された点群データの精度評価を実施した結果、3cm精度で計測できることを確認した。 B)解析処理技術の確立 本研究では、対象構造物に対する計測条件に着目して、計測精度を分析して実用に耐えうる点群データの精度を担保するためのアルゴリズムを開発した。具体的には、調整面を用いることでIMUとレーザスキャナの計測軸のズレを補正する技術や、それら調整点を用いた飛行側線ごとの高度のズレを補正する技術、飛行ルートプロファイルを用いた精度の低い点群データのフィルタリング技術を開発した。また、レーザ計測ユニットから得られたデータから3次元モデルを生成するシステムを設計した。 本研究のA)の成果により、従来製品よりも安価なレーザ計測ユニットが実現できた。また、B)の成果により、安価なレーザ計測ユニットにおいても、精緻な点群データの計測が可能となった。これにより、UAV搭載レーザ計測ユニットの普及に寄与できたと考えられる。そして、以上の成果を学術論文(査読付き1本、査読無し1本)として執筆し、特許の申請も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的であるUAV搭載レーザ計測ユニットによる高所からの空間計測技術の高度化と実用化を達成するため、平成30年度は、UAV搭載レーザ計測ユニットを試作し、計測対象を正確に計測するための点群データ処理技術を開発した。 UAV搭載レーザ計測ユニットの試作では、地上レーザスキャナの製造実績のある電機メーカーと、IMUやGNSSの製造メーカーと共同で開発することで、従来製品よりも安価なユニットを構築した。そして、実現場の様々な条件下での計測実験により、本ユニットの有用性を実証した。 また、点群データ処理技術では、IMUとレーザスキャナの計測軸のズレを補正する技術や、飛行側線ごとの高度のズレを補正する技術、精度の低い点群データのフィルタリング技術を開発し、API化を行った。さらに、UAV搭載レーザ計測ユニットから得られたデータから3次元モデルを生成するシステムを設計し、基本設計書及び詳細設計書として取り纏めた。 本研究で開発したUAV搭載レーザ計測ユニットと点群データ処理技術を組み合わせることで、安価かつ、高精度なユニットが構築できた。そして、地上レーザスキャナの計測結果と比較することで、3cm精度で計測できることが明らかとなった。これらのことから、UAV搭載レーザ計測ユニットによる高所からの空間計測技術の基礎を確立できたと考えている。 以上により、本研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、UAV搭載レーザ計測ユニットのプロトタイプを試作し、それらユニットから得られた点群データの補正処理技術を開発した。 今後は、レーザ計測ユニットの実用化に向けて、UAV搭載レーザ計測ユニットの製品版を作成し、実務における様々な条件下での有用性の評価実験を実施する予定である。具体的には、これまでに精度評価を通して選定したセンサ機器を組み合わせ、プロトタイプの設計に基づいてUAV搭載レーザ計測ユニットとして構築する。そして、販売体制を整え、製品化を行う。また、同時に、地上レーザスキャナの製造実績のある協力会社より、レーザスキャナの提供を受けることで、さらなる高精度化を行う。そして、航測会社に本ユニットを提供することで、実務のなかで有用性を再評価する。 また、レーザ計測ユニットから得られたデータから3次元モデルを生成するためのシステムの開発を目指す。具体的には、協力会社の各システムでも利用できるように、本研究で開発した技術をAPI化し、プラグインとして開発する。 以上、当初の計画を踏襲して研究を遂行する予定である。しかし、昨今のIoT技術の進展が早いため、新規製作の機器が費用対効果を鑑みた場合に時宜を得ないものになることも想定される。したがって、適宜、市販されている機器を用いる場合も考慮して最終目標を達成することを第一優先に研究を遂行する予定である。
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