メタゲノム解析パイプラインのアップデートなどを行うことで、Patescibacteria (Paceibacteri、Saccharimonadia、ABY1、Gracilibacteria、Microgenomatia) のビンが24個得られた。Patescibacteriaパッケージを用いたCheckMによる得られたビンの完全性は69.8~100%、汚染率は0~6.98%であった。また予測平均ゲノムサイズは0.80 Mbpであった。得られたビンから解糖系、ペントースリン酸経路、カルビン回路などに関わる遺伝子群が検出された。またSaccharimonadiaのビンからT4SSに関連する遺伝子配列が見つかり、Sec Secreted Arrayと考えられる分泌タンパク質の配列も確認された。過去に下水処理活性汚泥から検出されたCandidatus Saccharimonas aalborgensisのゲノムについても同様に解析したところ、 T4SSやSec Secreted Arrayの存在が確認され、下水処理活性汚泥中に存在するSaccharimonadiaの一部は、 T4SSの分泌システムを介して他の微生物と相互作用している可能性を示した。 可視化技術については、ヘミンを用いた微生物検出法について検討を行った。ヘミンの濃度や沈着時間、反応時間が与える影響について調べ、より強いシグナルを安定的に得るための最適な実験条件を明らかにした。そして金元素で菌体を標識しSEMで観察を行ったところ、金粒子であると推定される塊を菌体表面に多数確認した。次に、SEM-EDXにより元素組成を分析した結果、顕著な金元素のシグナルが得られた。これらより、菌体に対する金元素の標識が成功したことが示された。
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