研究課題/領域番号 |
18H01579
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大野 晋 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (40361141)
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研究分担者 |
源栄 正人 東北大学, 災害科学国際研究所, 名誉教授 (90281708)
三辻 和弥 山形大学, 工学部, 教授 (90292250)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地震動 / 即時予測 / データ同化 / 構造ヘルスモニタリング / 強震観測 |
研究実績の概要 |
本研究では,地盤・建物の地震波形情報がリアルタイムで利用可能となった現状において,地震動の波動場の即時予測の結果を建築構造物の応答予測や構造健全性評価に用いるために,同化手法による地震動の即時予測とそれによる主要動到達前の建物応答予測手法を開発することを目的としている。 今年度は,まず昨年度行ったアジョイント法に基づく仙台市の地下構造モデルの領域最適化について,モデルの安定性の検討を行うとともに,周波数応答の最適化に加えて時刻歴最適化も合わせた見直しを行った。また,最終年度に実施する仙台盆地内の地震動の即時予測に用いる入力を評価するため,広域観測点の強震記録を用いたデータ同化による基盤地震動の即時予測手法の検討を行った。実施者らによるリアルタイム地震観測網に防災科研の観測点を加えて,データ同化に用いる広域岩盤地震記録のデータベースを構築した。そのデータに基づき,短周期では帯域別の包絡形を輻射理論で求め,長周期では岩盤観測点による広域の波動場予測の検討を実施したが,後者は見込みよりも計算負荷が大きいことが確認された。 建物応答評価については,初年度に行った東北地方の中低層建物内(自治体庁舎や学校校舎)のシステム同定結果について,モデル次数の設定と逐次同定の安定性について見直しを行った。その結果に基づき,地震動の即時予測結果を入力として応答予測を行うための各建物の振動モデルの設定を行った。また,仙台市外の岩盤立地建物での応答予測の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
広域観測点の強震記録を用いたデータ同化による基盤地震動の即時予測手法の検討において,長周期では岩盤観測点による広域の波動場予測の検討を実施したが,見込みよりも計算負荷が大きいことが確認されたため。
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今後の研究の推進方策 |
地震動評価の項目では,広域岩盤観測点の強震記録を用いたデータ同化による基盤地震動の即時予測手法の検討を昨年度に引き続き進める。計算負荷軽減の観点から,理論計算の適用帯域について検討を加えた上で,仙台盆地内の地震動の即時予測の検討を行う。建物応答評価については,昨年度までに検討した評価対象地点の建物振動モデルを用いて,上記で求めた地震動の即時予測結果を入力とした応答予測の検討を行う。昨年度からの仙台市外の岩盤に立地した地点に加えて,仙台市内の堆積地盤上の地点も対象とする。 精度や適用性の評価については,地震動については予測結果と観測記録の比較による精度を,主に余裕時間(予測時点と観測時点の時間差)に着目して検討する。以上の結果に基づき,最終年度として,リアルタイム地震観測情報を用いた即時地震動・建物応答予測手法と,その工学的な適用性に付いて取りまとめる。
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