研究課題/領域番号 |
18H01581
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中埜 良昭 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10212094)
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研究分担者 |
松川 和人 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (50709186)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 津波 / 漂流物 / 鉄筋コンクリート |
研究実績の概要 |
2019年度は,曲げ破壊型の柱試験体への衝突実験と,架構試験体への衝突実験に係る試験体製作を行った。曲げ破壊型柱試験体への衝突実験により,架構の安全性検討手法の提案に必要となる,下記が明らかとなった。 1)衝突により「衝突物が損失したエネルギーΔE」と「被衝突物である柱試験体が吸収したエネルギーEa」には比例関係がある。本実験では衝突物が損失したエネルギーの約85%が柱試験体の吸収エネルギーに変換され,エネルギー伝達効率feは0.85程度であった。 2)衝突物の反発係数eは約0.2に収束した。 3)柱部材のひずみ速度による強度増加率αは,コンクリート材料強度増加率の評価式を用いて評価できると考えられる。 4)吸収エネルギー等置のための等価係数βは本実験では0.6~0.7となり,無軸力下で衝突載荷を行なった既往研究(β=約0.8)と比較して低下しており,軸力の影響を確認できた。 5)衝突載荷実験においても,最大変形角Rが大きいほど,残存軸耐力率ηRは小さくなる傾向が認められたが,現時点では,既往モデルを用いて,漂流物衝突後の柱の残存軸耐力を評価することは,やや困難である。これは,Shear Frictionモデルではせん断破壊面で滑る軸崩壊を仮定,Arch Resistanceモデルでは内部コンクリートと主筋が軸力を負担し,主筋は座屈していないことを仮定している一方,本試験体では主筋の座屈が発生しており,柱内部コンクリートが圧縮破壊する破壊性状を示しており,これを事前に予測することは難しいためである。 以上を踏まえ,架構試験体の衝突実験に用いる試験体を設計し,製作までを行った。以上は,2020年度へ繰越して実施した内容も含む実績の概要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた柱の実験を完了し,架構試験体の製作を完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は最終年度にあたり,過年度までに実施した部材単体の衝突実験の結果を参照しつつ,2019年度製作分のものに加え2020年度製作分の架構試験体への衝突実験を実施し,漂流物衝突時の安全性検討手法の取りまとめを行う。
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