研究課題/領域番号 |
18H01588
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中村 尚弘 広島大学, 工学研究科, 教授 (50416640)
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研究分担者 |
梶原 浩一 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 総括主任研究員 (10450256)
木下 拓也 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, 研究員(移行) (60591328)
宮津 裕次 東京理科大学, 理工学部建築学科, 講師 (70547091)
東城 峻樹 株式会社竹中工務店 技術研究所, その他部局等, その他 (70752103)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大型震動台 / 地震応答解析 / 耐震設計 |
研究実績の概要 |
本研究ではE-ディフェンスの実験より代表的なケースとしてRC構造試験体4体と、S構造試験体4体を対象とし、次の4項目の検討を行う。1) 建築物の振動特性の把握と整理 2) シミュレーション解析による検証とモデルの改良 3)小振幅から終局レベル付近まで適用可能な減衰モデルの作成 4)実用的な3次元フレームモデルの作成。これらのうち、本年度は1)~3)に関して下記を行った。 1)建築物の振動特性の把握と整理:振動台試験の固有周期と減衰定数の分析から、小振動時の減衰定数の評価に課題のあることがわかった。この原因は主として、振動台の回転入力の影響と考えられる。このため、今後はこの影響を考慮した検討を行う。また実建物の大入力時の影響検討として杭支持構造物の繰り返し入力に関しても分析を行った。 2)シミュレーション解析による検証とモデルの改良:質点系モデルにより、RC造4ケース、S造4ケースの解析を行い、実験結果との比較を行った。入力動が大きくなると、一般的な方法で設定されたモデルの結果は、実験との差異が大きくなる。RC造ではこの原因の一つとして、大梁の曲げ剛性に関するスラブの協力幅の影響が考えられることが示された。 3)新たな減衰モデルの提案:耐震設計に適用可能な新たな減衰モデルとして、非線形解析用の因果的履歴減衰に関して検討し、そのバリエーションとして4つのモデル(モデルA初期型、同変動型、モデルB初期型、同変動型)を示した。また入力動に偏りがある場合に対する機能修正も行った。さらに新たなモデルとして、非線形モーダル減衰も提案した。これは構造物の非線形化の進展に応じて逐次固有値解析を行い、モード行列を更新して減衰を与えるものである。計算負荷は大きいが、各種の提案モデルの比較検討用のモデルとして位置づけられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記2)ではRC造に関して一定の知見を得た。引き続きS造について検討を行う。3)に関して、有用性のある新なモデルが提案できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではE-ディフェンスの実験より代表的なケースとしてRC造試験体4体と、S構造試験体4体を対象とし、次の4項目の検討を行う。1) 建築物の振動特性の把握と整理 2) シミュレーション解析による検証とモデルの改良 3)小振幅から終局レベル付近まで適用可能な減衰モデルの作成 4)実用的な耐震設計モデルの作成。これらのうち、本年度は以下を行う。 1)建築物の振動特性の把握と整理:前年度の分析で震動台の回転入力の影響が無視できないものであることがわかった。本年度はこの影響を除外した試験体自体の性状を評価する方法について検討を行う。 2)シミュレーション解析による検証とモデルの改良:上記試験体の解析モデルを作成し、シミュレーション解析を行う。3次元フレームモデルのプッシュオーバー解析より得られた質点系モデルにより、昨年度はRC造4ケースの解析と、実験結果との比較、および設計モデルと実験結果の差異の性状について分析を行った。今年度はS造4ケースの解析について同様の検討を行う。 3)新たな減衰モデルの提案:前年度は耐震設計に適用可能な新たな減衰モデルとして、非線形解析用の因果的履歴減衰を提案した。今年度はこの比較対象となる新たなモデルとして、非線形モーダル減衰を検討する。また各種の問題に対して試検討を行い、適用性を確認する。この結果に基づき、必要に応じてモデルを改良する。 4)実用的な耐震設計モデルの作成:上記の検討に基づき、実用的なモデルを提案する。
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