本研究では,外気との換気のない循環系における室内及び循環部ソース単独の場合の時間変化する動的定常濃度を合成することにより,対応する換気のある開放系における定常濃度分布を予測する測定手法の開発を目的とする。これまでに本研究で展開する実験理論の妥当性を確認するために開放系,循環系,循環系において漏気量のコントロールが可能な環境試験室へ既存の実験室への機能追加を行い,漏気のない条件での実験理論の妥当性の検証は終了した。また,二酸化炭素の非定常濃度測定に適用できる濃度測定機器の製作をメーカに依頼し,応答速度10秒程度の高応答性機器に基づく測定システムを構築した。トレーサガス実験の理論については,従来の漏気系が室内ソースの除去に影響しない条件から拡張し,影響する場合の実験結果の合成方法について理論的な検討を実施した。加えてその原理の妥当性をCFDに基づき検証し,さらに実験室において妥当性検証を行った。計測器の応用として時定数の小さい通風環境における空気齢測定の可能性から検証は定常濃度分布と空気齢分布の両面について実施し,妥当な結果を得た。空気齢測定の拡張として、実際に使用される居室を模擬した空間での妥当性を得て、その上で実際の循環系の代表ともいえる空調機と空気清浄機が稼働する室において,定常濃度分布と空気齢分布の測定を試みた。実際に使用される居室では開放系との対応による妥当性は,実測による再現は不可能であるためCFDで行い,概ね対応は見られたことから空調機,空気清浄機が稼働する居室における空気齢測定が可能となった。
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