研究課題/領域番号 |
18H01603
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 直人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30345079)
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研究分担者 |
中野 茂夫 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (00396607)
佐野 浩祥 東洋大学, 国際観光学部, 教授 (50449310)
中島 伸 東京都市大学, 都市生活学部, 講師 (50706942)
初田 香成 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 准教授 (70545780)
西成 典久 香川大学, 経済学部, 教授 (90550111)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 都市計画史 / 展覧会 / 地域まちづくり |
研究実績の概要 |
本研究「『パブリック都市計画史』の理論的・実践的探求」は、これまでの都市計画史研究の方法に関する俯瞰的整理を行った上で、都市計画史研究の社会への還元を主題とした際に立ち現れる「非専門家も対象とした反省的知識」を構築する都市計画史 という領域を「パブリック都市計画史」として措定し、その構成要素や方法的特質について理論と実践の両面から明らかにしようというものである。研究の方法として、Ⅰ都市計画史研究の俯瞰的整理と「パブリック 都市計画史」の方法論的定置 Ⅱ「パブリック都市計画史」の国内外事例分析 Ⅲ「パブリック都市計画史」の実践で構成される。2018年度は、Ⅰ都市計画史研究の俯瞰的整理と「パブリック都市計画史」の方法論的定置に関して、主に代表者の単著『都市計画の思想と場所 日本近現代都市計画史ノート』(2018年8月出版)を通じて検討を進めた。日本の都市計画史の基本的視座を整理した上で、パブリック都市計画史を含む都市計画史研究の4つの概念型を提示した。また、Ⅱ「パブリック都市計画史」の国内外事例分析については、都市計画系雑誌における記事を基本材料として、過去の都市計画展覧会のリストを作成し、歴史的な観点からの考察を行った。Ⅲ「パブリック都市計画史」の実践面では、2018年9月の「アーバニズムプレイス展2018」、2019年1月の「高島平ヘリテージ50」展の開催を通じて、方法の開発や検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は大きく3つに分かれている。Ⅰ都市計画史研究の俯瞰的整理と「パブリック 都市計画史」の方法論的定置については、特に『都市計画の思想と場所 日本近現代都市計画史ノート』の序章において、日本の都市計画史研究の視点を総括し、今後のありうべき都市計画史研究を展望することができた。そして、その中で、「パブリック都市計画史」を仮説的に定置することができた。Ⅱ「パブリック都市計画史」の国内外事例分析については、2018年度は主に過去の都市計画展覧会を対象として、都市計画史あるいは都市計画そのものがどのように社会に対してプレゼンテーションされてきたのか、を整理した。ただし、現在の「パブリック都市計画史」と呼びうる事例については、2019年度に新たに始めた連続研究会において開拓していくこととした。Ⅲ「パブリック都市計画史」の実践については、当初の予定とおり、都市計画が生み出したきたパブリックスペースに焦点を当てた、新宿三井ビルディング足元の55HIROBAにて「アーバニズムプレイス展2018」を開催し、来場者アンケート調査を実施することで、「パブリック都市計画史」に関する基礎的な知見を得ることができた。また、板橋区役所モールギャラリーで開催した「高島平ヘリテージ50」展では、計画都市のヘリテージに関する基本的な枠組みの構築、およびそのカタログ的展示方法についての知見を得ることができた。以上のように、当初の意図したものに近いかたちで研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Ⅰ都市計画史研究の俯瞰的整理と「パブリック都市計画史」の方法論的定置に関しては、Ⅲ「パブリック都市計画史」の実践を踏まえた知見を学術論文として再構成し、国際ジャーナルに投稿することを通じて、パブリック都市計画史の定義や方法を国際的な議論をもとに構築していく。Ⅱ「パブリック都市計画史」の国内外事例分析については、連続研究会を開催し、事例の蓄積を図る。なお、海外事例については、COVID-19の影響もあり、現地調査の困難が予想されるため、方法をオンラインインタビューや文献調査に代えて遂行する予定である。
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