研究課題/領域番号 |
18H01610
|
研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
谷口 尚弘 北海道科学大学, 工学部, 教授 (80337013)
|
研究分担者 |
大月 敏雄 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80282953)
安武 敦子 長崎大学, 工学研究科, 教授 (60366432)
中澤 秀雄 中央大学, 法学部, 教授 (20326523)
鮎沢 潤 福岡大学, 理学部, 助教 (70184249)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 住宅地計画 / 人口減少 / 縮退プロセス / 縮退対応策 / 炭鉱住宅街 / 鉱山住宅街 / 海外住宅地 / 手の施し |
研究実績の概要 |
本研究は鉱山地域の『廃れていくことが宿命づけられた住宅街に対して手が施されてきた(施されている)試み』のプロセス分析を通して、現在の住宅街に適用可能な縮退対応策を提言することが最終的な目的である。2018年度の調査・分析の結果は①~④である。①国内:石狩炭田の芦別市・美唄市・上砂川町、筑豊炭田の宇美町・須恵町・篠栗町等の炭鉱住宅街を調査を実施した。芦別市は早期に企業誘致により炭鉱住宅地の縮退速度が遅まっていること、美唄市の東美唄地区で1992 年に「アルテピアッツァ美唄」が設立されたことによりまちづくり活動が継続し地域存続にいくぶん寄与しているが居住性の視点では南美唄地区同様に縮退していること、上砂川町はまちの駅ふらっとやシェアハウスの設置によりまちおこしが始まってきていること、須恵町は公共施設及び公営住宅地の開発し福岡市のベッドタウンとして機能し閉山直後は人口増加に至っていること、西戸崎は炭住跡地の一括した大規模開発により閉山直後は人口減少に至っていること、などが明らかとなった。②日本最大の炭鉱が抱える大量の社宅ストックが民間開発や公的介入によりドラスティックに変化している三井三池炭鉱地域(大牟田市)を対象に、住宅地介入手法別に市街地の年齢構成に与える影響について分析し、既成市街地に対し戸建住宅開発、民間借家、県営・ 市営・改良住宅建設、払下げ等、住宅地介入手法別に年齢構成に与えていることが明らかとなった。③国外では、ニュージーランドのウエストポート・デニストン・ブラックボール、オーストラリアのリスゴー・シングルトン・ニューカッスルにて炭鉱住宅街の調査および炭鉱博物館等でインタビュー調査・資料取集を実施した。④前採択課題(JSPS 15H04101)を含めたこれまでの調査の取りまとめ会議により、各自治体別・炭鉱別変遷シートや写真や図表の作成および整理を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進んでいる理由は次のようである。①これまでの成果のとりまとめ会議と図書執筆準備が始まったこと、またそれに対して不足している調査と本研究課題の目的を達成するための調査分析が遂行できている。②研究当初に予定していなかった国外の住宅街も対象とすることとした。これにより、これまで実施してきた国内の住宅街と比較分析も可能なため研究としては大きな前進と思われる。2019年度はドイツ、ベルギー、フランスに調査する予定であり、2018年度のオーストラリアおよびニュージーランド調査との比較分析も可能となる(オーストラリア・ニュージーランド調査が年度末(2019年3月)であったため分析については2019年度に実施する予定である)。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度も前年度に引き続き、①国外は石狩炭田の自治体(歌志内市など)、釧路炭田の春採地区、筑豊炭田などを予定している。②国外はドイツ(エッセンのツォルフェアアイン炭鉱)、フランス(フランのノール・パドカレ地方の炭田地帯とルワルド炭鉱歴史センター)、ベルギー(リエージュ・シャルルロア・モンスのワロン地域におけるエノー州の3鉱山とリエージュ州の1鉱山)に調査する予定である。上記、①と②については『廃れていくことが宿命づけられた住宅街に対して手が施されてきた(施されている)試み』のプロセス分析を実施する。③とりまとめ(図書執筆)会議を実施する。会議と執筆による不足データ等の収集・調査を実施する。特に各自治体別・炭鉱別の写真や図表を早々に整理しそれぞれのシート等を作成する。
|