研究課題/領域番号 |
18H01612
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
鎌田 誠史 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 准教授 (70512557)
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研究分担者 |
山田 浩世 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (00626046)
浦山 隆一 富山国際大学, 現代社会学部, 客員教授 (10460338)
陳 碧霞 琉球大学, 農学部, 助教 (50606621)
山元 貴継 中部大学, 人文学部, 准教授 (90387639)
山本 正昭 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (80789488)
渋谷 鎮明 中部大学, 国際関係学部, 教授 (60252748)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 景観復元 / 伝統的村落 / 空間構成 / 琉球弧 / 普遍的原理 |
研究実績の概要 |
統一手法による景観復元については、すでに琉球列島及び与論島における約19ヶ村の伝統的村落を対象として実践しており、この手法を広く琉球弧の全域に適用することで、可視的な空間比較研究のモデルも提示していく。景観復元手法や復元図作成技のノウハウの公開・共有化は、地域社会に貢献する技術研究成果ともなる。景観復元の根拠資料については、研究メンバーがこれまでに入手した古地図、地籍図、土地台帳、米軍撮影空中写真に加えて、韓国・済州大学校師範大学の所有する膨大な「戦前の米軍撮影空中写真」、竹富町役場の所有する明治期地籍図(入手済み)などを活用する。本研究では、復元根拠資料を活用した実証的な研究アプローチに加え、とくに現地調査・聞き取り調査を重視して研究課題の解明を進めている。具体的な段階としては、(1)琉球弧全域を、①琉球列島エリア、②奄美群島エリア、③トカラ・薩南エリアの3地域に分け、年度ごとにそれぞれの地域を対象に調査を進める。 今年度は、主に奄美群島エリアを対象に喜界島、沖永良部島、徳之島の米軍撮影空中写真や復元根拠となる資料や先行研究の入手、喜界島、沖永良部島の地形図を入手した。また、喜界島、沖永良部島、徳之島の集落の現地調査、関係者へのヒアリングを実施している。とくに沖永良部島の調査において復元根拠となる貴重資料を関係者から提供を受けることができた。なお、景観復元については喜界島の全集落の地図と米軍撮影空中写真の重ね合わせが完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は統一的手法による景観復元を行う対象村落の復元根拠資料の収集を主要な作業として調査を実施した。対象となる喜界島、沖永良部島、徳之島のすべての村落の米軍撮影空中写真を入手することができた。また、喜界島、沖永良部島、徳之島の関係機関の協力を得ることができ、復元根拠となる空間要素の分布などについての長年の調査資料の提供を受けることができたことは想定以上の成果であった。村落の現地調査では喜界島の全対象村落の調査を実施することができた。なおこの調査は2回実施した。沖永良部島、徳之島ではそれぞれ数集落にとどまったが現地調査を実施することができた。景観復元については喜界島の全対象村落の重ね合わせが完了したためおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
喜界島と沖永良部島の統一的手法による景観復元を完了する。続いて徳之島、加計呂麻島の景観復元を目指して作業を進める予定である。居住域・生産域・聖域など村落全域の空間を対象とし、村落の立地や空間構成、地形的立地条件との関係に注目した形態類型を行い、比較・考察を通じて近代以降の著しい変容を経験する以前の構造を明らかにする統一手法による景観復元による、可視的な空間比較研究のモデルを提示しながら、琉球弧の中でも各時代の支配体系や領域の異なる各地域(島)村落の地域固有性と地域を越えた集住環境形成技術の普遍的原理を、統一的に比較することで求めるためのベース作業を引き続き行う予定である。
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