研究課題
九州の南側を出発点として台湾まで伸びる島嶼郡は「琉球弧(南西諸島)」と呼ばれ、かつて琉球王国の最大版図となっていた。しかしながら、琉球弧の伝統的村落の研究については従来、各地域で個別に追求されやすく、村落構造を統一的に比較・検討する実証的な調査研究アプローチに乏しかった。そこで本研究では、申請者らが沖縄本島・先島の伝統的村落の分析ですでに確立しつつある、統一手法による景観復元を用いた相対的な比較分析手法を広く琉球弧全域に適用することで、同地域の近代以降の著しい変容を経験する以前の伝統的村落空間の地域を越えた集住環境形成技術の普遍的な原理と、地域固有のエコロジカルな環境観の考究を行った。南西諸島(琉球列島および奄美群島)の広い範囲における伝統的集落に対する空間的な比較検討のための基礎資料として、大戦前後に南西諸島の各地を上空から撮影した、米軍空中写真の活用を検討した。加えて、集落によっては1899(明治32)~1903(明治36)年にかけて行われた土地調査である「土地整理事業」以降整備された地籍図や、戦後に製作された「一筆地調査図」などをもとにして、それらの幾何補正を含めたデジタライズ(デジタル画像化)などを行って作成したベースマップを、148集落(沖縄本島20集落、宮古・八重山24集落、与論2集落、沖永良部33集落、徳之島36集落、喜界島33集落)について作成した。それをもとに、地形的立地条件ごとでの空間構成の特徴を分析し、類型化した。その分析においては、近代以降の著しい変容を経験する以前の各村落の空間構造に対する統一的な手法による空間復元図の作成を行い、詳細な標高分布も確認しながら詳しく検討した。その成果をもとに琉球弧(南西諸島)の島々に適応する集落景観づくりのモデルを提案し、急速に失われつつある環境形成技術の固有価値をいかした集住環境再構築の実践に還元が期待できる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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南島考古
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武庫川女子大学生活美術研究所紀要
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沖縄県立埋蔵文化財センター発掘調査報告書第114集 中城御殿跡―県営首里城公園 中城御殿跡総括報告書―
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