研究課題/領域番号 |
18H01615
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平賀 あまな 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特任准教授 (90436270)
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研究分担者 |
斎藤 英俊 京都女子大学, 家政学部, 客員教授 (30271589)
矢野 賀一 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (60392544)
白木 ひかる 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, その他部局等, アソシエイトフェロー (30868154)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 片山東熊 / 宮内省内匠寮 / 明治宮廷建築 / 旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮) / 表慶館 / 奈良国立博物館 |
研究実績の概要 |
片山東熊と宮内省内匠寮の建設事業を建築調査や新史料から分析し、建設事業の詳細な設計過程や実際の施工体制、日本近代建築発展に果たした役割を明らかにするため、本年度は下記のような調査研究を実施した。 旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)については、宮内庁宮内公文書館所蔵の設計図書、図面、会計文書により、施工の実態を解明するため特に石工事に注目し、石材の調達、加工、施工内容と東宮御所御造営局による設計や監理の体制を明らかにした。同様に石工事に着目して、東京国立博物館史料により表慶館建設時の石工事についても分析を行い、石材の開発、施工体制が不十分な時期において、宮内省による工事が日本近代建築建設を可能とするための施工体制の発展に果たした役割について考察を行った。 奈良博物館本館については、奈良国立博物館所蔵の241枚の当初の設計図面と宮内公文書館所蔵の建設図書の分析により、その設計、建設工事の詳細を明らかにした。奈良国立博物館特別陳列「帝国奈良博物館の誕生-設計図と工事録にみる建設の経緯」開催にあたり、研究成果を提供することで協力を行った。 日本近代建築に与えた影響の調査については、旧東宮御所と同様に天井画を持つ近代建築について、その設計内容と現在の状況の考察を行った。 片山の欧米出張時の動向については、昨年度のフランス調査で得た資料から、片山が使用した室内装飾会社を特定し、その購入の傾向を分析した。片山が影響を受けた西洋建築様式の調査として、アメリカまたはイギリスにおける関連建物の調査、史料収集を行うこととを計画していたが、新型コロナウィルス感染拡大により予定していたアメリカ調査の実施を延期することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は新型コロナウィルスの感染拡大により、予定していたアメリカ調査が実施できなかったことから、欧米の建築界の動向から片山が受けた影響の調査について遅れが生じた。しかし、それ以外の国内の建築に関しては昨年度までに史料収集が予定以上に進んでいたことから、全体としてはおおむね順調に調査は進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は研究の最終年度であることから、(1)西洋の様式を用いた意匠の設計手法や日本趣味導入の実態、(2)構造・設備の新技術の導入、(3)近代建築建設を可能とする施工技術の構築、の各項目についてこれまでの調査研究で得られた結果を総合し、片山と内匠寮の仕事を評価し、日本近代建築発展に果たした役割を明らかにすることとする。各項目についての研究成果についての論文等での発表を重視する。
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