研究課題/領域番号 |
18H01621
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺本 進 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30300700)
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研究分担者 |
岡本 光司 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (70376507)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 空力音響 / ロケット / 超音速ジェット |
研究実績の概要 |
本年度は2次元衝突ジェットを対象とした非定常解析を実施し、シミュレーション結果でも実験同様に複数の音響波が発生することや、擾乱の通過タイミングと音響波の発生タイミングが一致することを確認した。さらに詳細な解析を実施し、音響波の発生と関係する衝撃波の変動を特定した。成果の一部は、学術論文として投稿している。 本年度の実験では,音響トリガ条件付抽出法の適用範囲拡大の一環として,不足膨張及び過膨張の超音速ジェットから発生する騒音現象を対象とした実験を実施した.これらのジェットからは,適正膨張時のジェット騒音に加えて,衝撃波関連騒音及びスクリーチ音が発生することが,過去の文献からわかっており,本手法が適用可能であるかどうかを調査した. まず不足膨張ジェットを対象に音響計測を行ったところ,衝撃波関連騒音が観察され,過去の文献に述べられているような特徴が確認できた.そして,条件付抽出解析の結果,抽出対象とした衝撃波関連騒音は,ノズル軸方向x/D=12付近(D:ノズル出口直径)を音源位置として,バースト的に発生している様子が確認できた. 次に,過膨張ジェットを対象に同様の実験を実施したところ,衝撃波関連騒音に加えてスクリーチ音が観察された.そして,可視化動画からの抽出解析を実施したところ,トリガ検出用マイクの設置位置が適切である場合,これら二つの現象を分離することができること,スクリーチ現象を抽出対象にした場合,常に現象が発生しており,トーンノイズ現象の特徴を示していること,などが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数値解析で実験と対応する結果が得られることを確認し、さらに音源と関係する流動現象を特定することに成功した。また実験面では、衝撃波関連騒音及びスクリーチ音という,性質の異なる音響現象の抽出が可能であることが確かめられたことから,音響トリガ条件付抽出法の適用範囲を広げるという点で,一歩前進したといえる.特に,トーンノイズ現象についても抽出が可能であることが確認できたことは,今後衝突ジェットを対象にした実験を実施するにあたって,大変有意義な結果であるといえる. 以上のことから,おおむね予定通り進捗しているとみなすことができる.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に数値解析の空間圧力変動データを対象として、音源となる流動現象と相関をもつ信号を抽出する手法の検討を行う。実験面では本年度の実験により,広帯域騒音とトーンノイズ現象のいずれも,音響トリガ条件付抽出法によって,現象抽出が可能であることが示された.ただし,トーンノイズ現象抽出にあたっては,トリガ現象検出プロセスに不明な点が残っていることから,これを明らかにする取り組みを,今後も継続する.そのうえで今後は,衝撃波関連騒音とスクリーチ音の両方を伴う過膨張超音速ジェットが斜め平板に衝突する際に発生する騒音現象を対象に,本手法を用いた現象解明に取り組む.
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