研究課題
極低温スロッシング実験では、真空断熱槽(クライオスタット)の内部に設置した小型透明の密閉容器に極低温液体と常温気体を封入し、スロッシングと温度場が連成する流れ場を実現した。真空断熱槽を電動加振機に連結し、水平方向と様々な非定常加速度を与えることで、液面変形が線型応答を呈する場合から、砕波を生じる強非線形応答を呈する場合まで、容器内部での熱交換と相変化に起因する圧力変動を計測するとともに、真空断熱槽の観察窓を通じて容器内部の液面挙動や液滴を高速度撮影した。本年度は、タンク内にスロッシングに対する障害物を艤装した場合についても実験を試み、これまでに構築した実験手順により、再現性に優れたデータを取得できた。また、気液界面近傍に形成される、飽和液層の厚さを様々に変化させた対照実験により、スロッシングによる液温成層の破壊がタンク急減圧の直接原因になることを確認するとともに、障害物の存在によってスロッシングに伴う液面揺動を減衰させる場合でも、液温成層の破壊と攪拌が促進される場合には、サブクール液が気相側に暴露し、気相凝縮と圧力降下が促進されることが分かった。大型液体水素タンク減圧実験では、昨年度に取得した、宇宙航空研究開発機構・能代ロケット実験に設置された容量30立方メートルの液体水素タンクを活用し、実機寸法に近いタンクで液体水素を対象とした減圧特性の取得試験データを対象とした、数値解析を実施し、実験を再現するサブグリッド相変化モデルの考案して実装した。以上を総合し、独自の自由表面流数値解法を固体伝熱解法とも練成させて改良し、工学的に有用な設計手法として提案した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
International Journal of Hydrogen Energy
巻: 2021 ページ: In Press
10.1016/j.ijhydene.2020.12.184
Cryogenics
巻: 112 ページ: 103196
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巻: 109 ページ: 103095
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https://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/topics/setnws_201906281249459745867077.html