研究課題
申請書に記載の全体計画に基づき,本年度は以下の2つの活動を進めた.1)はやぶさ・はやぶさ2の実運用データを活用した小天体相対誘導航法の体系化:本年度ははやぶさ2が小惑星Ryuguへ到着し,画像航法評価の源泉となりうる良質のデータを多数取得した.これらのはやぶさ2運用データを,天体相対航法誘導の観点で抽出整理し,画像航法情報としてデータベース化を行った.また,はやぶさ2プロジェクトが出力する航法情報と,当研究で検討している画像マッチング手法を比較することで,航法の観点での一次評価を実施した.はやぶさ・はやぶさ2は地球距離2AU前後にて小惑星への着陸を試みるが,その際に得られる天体モデリングや誘導航法の知見を利用し,3AU以遠の超遠方天体への着陸のための課題抽出を行った.特に,小惑星環境特有の強摂動下の天体力学の解析技術の研鑽・集約の観点で,実データのあるRyuguを対象に,ランデブー軌道や周回軌道の検討を実施し,解析人材及び解析ツールを蓄積した.2)画像航法技術の研究:天体相対航法を実現するための最も重要な要素技術に,天体画像処理技術が挙げられる.本年度は,自律運用に有望な自動画像認識技術を複数抽出し,実時間アルゴリズム化することを目指して,机上検討を実施した.さらに,1)のデータベースを入力とする,画像航法のソフトウェアシミュレーション評価のプラットフォームを構築した.1)2)の一連の活動により,自律画像航法の基本的な実験環境を整えた.
2: おおむね順調に進展している
当初掲げた2つの活動項目 1)はやぶさ・はやぶさ2の実運用データを活用した小天体相対誘導航法の体系化,2)画像航法技術の研究 ともに,当初計画通り進捗した.はやぶさ2ミッションから本研究の進展に必要なデータを取得できたことも,計画通りの進捗に寄与した.
申請書に記載の全体計画に基づき,本年度は以下の2つの活動を進める.1)画像航法データベース化の完成はやぶさ2は2018年6月27日に小惑星Ryuguに到着し,以降たくさんの観測画像データが取得できている.昨年度までに完成した画像航法データベースシステムへの,観測画像の登録を引き続き進めるとともに,天体相対誘導航法の解析技術について研究を進める.はやぶさ2プロジェクトより,実際の運用実績に基づく誘導航法精度を取り込むことで,現実的な設計パラメータを絞り込む.また,前年度に引き続き,小天体研究のコミュニティとの研究会等を通じて,小天体相対誘導航法手法について広く研究題材を創出することを心がける.2)画像航法技術の研究前年度の検討結果に基づき,天体画像処理技術のハードウェア回路を製作する.複数の画像処理アルゴリズムを試行し,「遠方天体自律相対光学航法」に適した手法を探索する.研究遂行に当たっては,画像処理および組み込み機器の専門家を集めた研究会を定期的に実施する.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 5件)
Acta Astronatuca
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