研究課題/領域番号 |
18H01633
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北澤 大輔 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30345128)
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研究分担者 |
吉田 毅郎 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (30771505)
韓 佳琳 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (40814877)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 海中浮沈技術 / 可撓性構造物 / 内部空気流れ / 流体・構造連成解析 / 水槽模型実験 |
研究実績の概要 |
2018年度は、内部の空気圧によって剛性が変化する可撓性構造物の海中での挙動を明らかにするための水槽模型実験手法、および構造物内部の空気流れ解析と可撓性構造物の挙動解析を組み合わせたシミュレーション手法を開発するため、既存の文献調査や関連する国際会議への参加を通じてこれらの手法について調査した。 次に、水深30m程度の海域に設置され、長さが約48m、幅が約35mの箱網を持つ小型定置網を想定し、収穫のための自動揚網システムで使用を想定する直径150mmの可撓性ホースの挙動解析を行った。縮尺比を約1/6として、長さ約8mの可撓性ホースを製作した。長さ50m、幅10m、深さ5mの海洋工学水槽に設置し、水槽の曳引台車に設置したエアコンプレッサーおよび給排気装置を用いて可撓性ホースへの給排気を行った。実験パラメータとして、給気圧力、給気速度、可撓性ホースの浮力・沈力比を変化させ、模型の海中での挙動の違いを計測した。計測パラメータは、模型の形状変化、浮上、沈下にかかる時間、ホース内の空気流量とした。また、可撓性ホースを複数本結合して平面上に加工した可撓性ホースネットも製作し、予備実験を実施した。その結果、可撓性ホースの浮力に対して、約40%の沈力を与えることによって、可撓性ホースが自然沈下することが分かり、給気時の圧力、給気速度と可撓性ホースの浮上速度との関係性が得られた。これらの成果をもとに、国際会議論文を執筆した。 さらに、可撓性ホース1本を対象として、ホース内の空気流れの解析モデルの構築に着手した。また、可撓性ホースの挙動を再現する力学モデルの構築にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、既存の文献調査や関連する国際会議への参加を通して、内部の空気圧によって剛性が変化する可撓性構造物の海中での挙動を明らかにするための水槽模型実験手法や解析手法に関する知見を得た。海洋工学分野では、海底資源開発で用いられるホースの挙動の研究、その他の分野では水道ホースの研究に類似の研究が見られた。また、2018年度の研究目標は、可撓性ホース1本の浮上、沈下の水槽模型実験を行い、結果を解析するとともに、数値解析モデルを構築し、検証することであった。数値解析モデルについては、構築には着手したが、まだ十分に検証できていないため、やや遅れている。一方、水槽模型実験は、可撓性ホースを複数本結合して平面上に加工した可撓性ホースネットを製作し、実験を進めることができたため、当初の予定よりもやや進んでいる。したがって、全体としては、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、引き続き水槽模型実験を行うが、波浪や潮流などの環境条件を考慮し、可撓性ホース間の張力を計測する。また、可撓性ホースネットは、最初に定置漁業での利用を検討していることから、箱網を模擬した構造物を合わせて設置して実験を行う予定としている。数値解析モデルについては、2018年度はやや遅れていたため、構築を進めて、水槽模型実験の結果と比較することによって検証を行う。また、水槽模型実験では実海域の圧力条件を模擬できない。そこで、2020年度には実海域での実験を予定しており、可撓性ホース間の張力を計測するための張力計の選定、発註を行う予定である。
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