研究課題/領域番号 |
18H01637
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
岡田 哲男 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (10753048)
|
研究分担者 |
川村 恭己 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (50262407)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ホイッピング / ランキンソース法 / 船体運動 / 波浪荷重 / 実船計測 / 二重底 / 全船有限要素解析 |
研究実績の概要 |
ランキンソース法に基づく時刻歴波浪荷重解析と全船有限要素解析を組み合わせた手法により、不規則波中の弾性振動成分を含む船体構造応答について種々の検討を行った。ホイッピングの上下振動を起振力として二重底が起振される現象が以前の研究で明らかとなっていたが、本年は様々なコンテナ貨物重量に対する、ホイッピング発生時の二重底面外曲げ挙動を観察した。その結果、最大コンテナ重量を想定しても、ホイッピングにより起振される二重底の応答は十分に準静的であり、コンテナ貨物重量が大きいことは危険側にはならないことを明らかにした。また計算結果から、船体前後部の重量が中央部に比べて大きいとホイッピング応答が大きくなる可能性が示唆された。 計測された船体応答から波浪スペクトルを推定する手法の研究に関連し、入力した波浪スペクトル情報が厳密にわかっている本数値シミュレーション手法の計算結果を用いて、各種の船体応答計算結果から波浪スペクトルの推定を試行し、推定方法の検証や、コンテナ船に適した船体応答の種類等について検証を行い、船体運動よりも船体縦曲げ応力の方がより適していることを示した。 実船計測結果との比較に関しては、2012年から2017年にかけて計測が行われた8600 TEUコンテナ船及び2016年以降順次就航している14000 TEUコンテナ船のデータを用いて、本数値シミュレーションと関連した種々の研究を実施した。特に後者においては、数値シミュレーションで観察されていたホイッピングが二重底曲げを起振し、縦方向応力が重畳する現象が実船計測結果からも確かめられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二重底曲げ振動に及ぼすコンテナ貨物重量の影響を確認できたこと、ホイッピングに伴う二重底曲げを実船計測でも定量的に把握でき、数値シミュレーションの正しさを検証できたことなど、当初の想定以上に進捗している部分がある一方、様々な海象条件や船速、船型の下での数値シミュレーションのシリーズ計算については、若干遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
本数値シミュレーション手法を用いたパラメトリックスタディを今後は本格的に進める。具体的には船速、海象条件、バウフレア形状の影響把握を行う。 実船計測との比較検証については、縦方向応力を垂直縦曲げ成分、水平縦曲げ成分、捩り成分、軸力成分に分離し、それぞれの成分におけるホイッピングの大きさや減衰率などを分析する。その上で、ホイッピングと海象条件・操船条件との相関を調査し、ホイッピングの大きさが予測できる枠組みを構築していく。
|