数値流体力学(CFD)や実験流体力学(EFD)による圧力場の解析は、航空機や船舶における流体解析において共に最重要研究課題に位置付けられ、船舶耐航性能分野においても昨今のCFDの進展に呼応して、その検証に供することのできる飛躍的なEFDの進展が切望されている。本研究では、光センシング技術の一つであるFBG (Fiber Bragg Gratings)を用いた圧力センサーにより、波浪中を航走する船舶に作用する非定常な圧力分布を船体全域で面的に計測できる革新的なEFD技術の開発を目指す。片や、簡易結合法に基づく高精度な耐航性能3次元理論推定法を新規開発し、既存のストリップ法、EUT、CFDによる推定法と共に、上記EFDで取得された非定常圧力レベルでのベンチマークテストを行い、各理論推定法の妥当性やEFDで取得された圧力データ自体の有用性を明らかにする。 本研究は、①FBG圧力センサーによる波浪中を航走する船舶に作用する非定常圧力の面分布計測データの構築、②簡易結合法に基づく耐航性能の3次元理論推定法にズーミング法を組み込んだ高解像度計算法の開発、③非定常圧力の面分布計測データを用いた既存の理論推定法のベンチマークテスト、の3項目に分けて遂行している。令和2年度はまず①に関連し、これまでのバルクキャリアー船型とは異なる船型への適用例として、RIOSコンテナ船型を用いた水槽試験を実施し、圧力分布を取得することで本計測法の汎用性を確認した。次に②については、コンテナ船型に対する数値計算を実施して①で得られた結果と比較を行った。加えて③については2船型に対するCFDによる数値計算を行い、ベンチマークテストに使用する計算法の種類を増やした。
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