| 研究課題/領域番号 |
18H01640
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| 研究機関 | 広島大学 |
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研究代表者 |
山本 元道 広島大学, 工学研究科, 教授 (30274111)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | レーザ溶接 / ホットワイヤ / 厚鋼板 |
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| 研究実績の概要 |
大型船舶で多く用いられる，中厚板鋼材の下向き突合せ継手および立向き突合せ継手を対象に実験を実施した。【対象1】板厚：20mm（造船用高張力鋼板KA36），継手形状：下向き突合せ継手，【対象2】板厚：50mm（造船用高張力鋼板EH40），継手形状：立向き突合せ継手
本年度は，主に以下の項目について検討した。（1）高出力半導体レーザによるビーム形状制御の検討：ホットワイヤ・レーザ溶接中の高速度カメラによる溶融現象の詳細な把握，ツインレーザ合成・高精度エネルギー密度制御時の溶接現象の把握，ツインレーザ合成・ウィービング照射よる施工性向上の検討（2）マルチ可視化センサー・レーザセンサーを用いたモニタリングの実施：ホットワイヤ・レーザ溶接中の溶接現象モニタリングの実施（3）ホットワイヤ・レーザ溶接継手の特性評価：各種溶接条件（レーザ照射条件，溶接速度，開先条件など）が継手特性（静的強度，破壊靭性，疲労強度)に及ぼす影響の把握（4）中厚鋼板大型試験体継手での溶接施工検証：大型継手に対応したホットワイヤ・レーザ溶接システムによる継手作製の実施
検討項目（1）では，高出力6kW半導体レーザ発振器2台および高速度カメラを用いて，【対象1】の供試材料・継手に対して狭開先1パス下向溶接を，【対象2】の供試材料・継手に対して1パス立向溶接を実施し，各項目を検討した．（2）では，高速度カメラおよびマルチセンサーカメラを用いたデータの収集を実施した．（3）では，小型試験片を用いた継手を作製し，各種評価試験を実施した．（4）では，【対象1】の大型の立向き溶接システムの検討を行った．
【対象1】【対象2】の継手共に，レーザ 照射条件の詳細な検討を行うことができ，モニタリングの基礎データ収集，モニタリング手法の基礎検討を実施することができた．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【対象1】（板厚：20mm（造船用高張力鋼板KA36），継手形状：下向き突合せ継手）に対しては，狭開先1パス溶接について検討した．6kW高出力半導体レーザ発振器を2台用い，それぞれのレーザビーム形状・寸法を制御して組み合わせることで，板厚20mmの厚鋼板を1パスで溶接できることができた．高速度カメラを用いた溶接中の可視化画像によって，溶接現象の詳細な把握が可能になり，欠陥発生の予測が一部可能となった．作製した継手に対して，各種評価試験を実施し，良好な結果を得ることができた．
【対象2】（板厚：50mm（造船用高張力鋼板EH40），継手形状：立向き突合せ継手）に対しては，6kW高出力半導体レーザ発振器を2台用い，一方にウィービングヘッドを，もう片方に固定ヘッドを適用し継手作製を実施した．それぞれのレーザビーム形状・寸法の検討，レーザエネルギー分布の検討，ウィービング波形・周波数の検討結果などから，板厚50mmの厚鋼板を1パスで溶接できた．高速度カメラを用いた溶接中の可視化画像によって，溶接現象の詳細な把握が可能になり，一部の欠陥発生の予測が可能になった．適正に作製できた継手に対して各種評価試験を行い，良好な結果を得ることができた．
マルチセンサーカメラを用いた可視化・温度計測では，カメラの不具合により予定のデータを全て取得することができなかったが，2次元温度場を比較的高精度に取得できることが明らかになった．大型試験体に向けた溶接システムの検討では，立向き継手に対して大型試験体に対応できるシステムの基礎検討を終えることができた．
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| 今後の研究の推進方策 |
【対象1】（板厚：20mm（造船用高張力鋼板KA36），継手形状：下向き突合せ継手）に対しては，狭開先1パス溶接の実現に向けて次の検討を行う．これまでに得られたツインレーザビームの形状・寸法の適正制御を用い，いくつかの適正条件での継手作製を行う．作製した継手の各種評価を行い，溶接条件，ワイヤ選択などが継手特性に及ぼす影響を調査する．施工安定性，施工能率，欠陥防止などの観点に着目し，本溶接プロセスの実適用に向けた検討を行う．
【対象2】（板厚：50mm（造船用高張力鋼板EH40），継手形状：立向き突合せ継手）に対しては，これまでに得られたツインレーザビームの形状・寸法の適正制御を用い，小型試験体継手を作製する．作製した継手の各種評価を行い，溶接条件，ワイヤ選択などが継手特性に及ぼす影響を調査する．施工安定性，施工能率，欠陥防止などの観点に着目し，本溶接プロセスの実適用に向けた検討を行う．
溶接中モニタリング技術の開発では，これまでに高速度カメラおよびマルチセンサーカメラによって得られた基礎データを基に，プロセスモニタリング ，欠陥発生モニタリング手法を確立する．小型・安価な一般的なCMOSセンサーカメラを用いたシステムを検討する．
大型試験体に向けた溶接システムの検討では，立向き継手に対して実現に向けた設計を行い，一部溶接実験を行う．下向き継手に対しては，スライダーあるいは多関節ロボットを使用した溶接システムの試作を行い，一部溶接実験を実施する．
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