研究課題
本研究は振動水柱型波力発電装置の模型スケール実験と実機との間で生ずると考えられる縮尺影響について調査することを目的に実施された。振動水柱型波力発電のように密閉に近い空気室内の空気の振る舞いは実在流体としては粘性影響や圧縮影響などがあり,水波の問題と比較するとその影響は無視し得るものか否かが問題となる。本研究では模型スケールにおいて3つの相似モデルを設定し,主に静水中での上下運動の強制動揺実験により縮尺による空気室内圧力と体積変動,および結果として得られる一次変換特性の違いの有無とその定量的な特性を調べた。さらに,線形ポテンシャル理論をベースとして流体解析をする際に振動水柱上部の空気室の状態方程式として断熱圧縮の仮定および等温変化の仮定を導入して定式化し,それを線形化して周波数領域でモデル化した。この理論計算結果と実験結果の比較から定量的に縮尺影響を調べた。圧縮性における縮尺影響はスケールに依らず大気圧が一定であるということから生ずるといえ,それゆえに海外における多くの研究で縮尺模型では空気室を非常に大きくする(体積が縮尺の3乗に比例するのに対して状態方程式から得られる相似比にのっとり縮尺の2乗分の1となる体積設定をする)方法が適用される。本研究では基準模型の1/2,1/4の縮尺模型に対して,相似比が1/4および1/16となる大きな空気室の模型も用意した。これらの実験および計算結果から,理論的な取り扱いについては断熱圧縮はより妥当であることが確認された。その計算結果から空気室の圧縮影響は一般に考えられる程度の小さなものであるが,高周波数域ではその影響が若干大きくなることも理解できた。非線形影響に伴う縮尺影響は空気の圧縮性よりも空気室の形状などによる空気流の違いによって現れる粘性影響の方が顕著であることも理解できた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proceedings of ASME 2020 39th International Conference on Ocean, Offshore and Arctic Engineering
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10.1115/OMAE2020-18762
10.1115/OMAE2020-19002