2020年度は,ディーゼル排ガス微粒子に対する高電界型電気集じん装置(高電界型ESP)の効果を検討するため,集塵率の電圧特性に対する電極長の影響について検討した.実験装置はディーゼルエンジン,ダクト,ESPで構成した.ESPは接地用円筒電極内に高電圧印加用円柱電極を電圧給電バーで吊り下げた同軸円筒構造とした.電極間隔は10 mm,円柱電極長は最大1000 mmとした.電極間に最大12 kVの直流負極性高電圧を印加し,静電界を形成した.実験で使用するディーゼルエンジンの燃料はA重油,負荷は3 kWとした.エンジンからの排ガスは,ダクト及びESPを通過して排出される.ESP内における排ガス速度は約4 m/s,排ガス温度は約110℃とした.ESP下流側ダクトから排ガスの一部をポンプで吸引し,排ガス微粒子をフィルターで採取した.採取前後のフィルター質量差から粒子濃度を求め集塵率を算出した.その結果,電流値は測定限界の0.01 mA以下であり,電力はほとんど消費しなかった.集塵率の実験値は,いずれの電極長においても電圧の上昇に伴い向上する傾向となった.また,電極長を長くすることで集塵率は向上した。集塵率は,電極長1000mmのとき51%であり,この値は計算値とほぼ一致した.このことから,電極長2700mmで集塵率80%が達成できると予測された. また,本システムにおける集塵モデルを考え,運転時間を変数に含んだ集じん率の計算式を導いた.さらに,ESPを長時間稼働させ集塵性能を測定した.その結果、集じん率の時間変化における計算値と実験値は概ね一致し、理論式の妥当性が示された。
|