研究課題/領域番号 |
18H01651
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
福場 辰洋 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋工学センター, 技術研究員 (80401272)
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研究分担者 |
岡村 慶 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (70324697)
下島 公紀 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70371490)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 海洋計測 / 環境計測 / 光センサ / 微弱光 / マイクロ流体デバイス / ATP |
研究実績の概要 |
本年度の研究ではまず、マイクロPMT(photo multiplier tube)及びMPPC (Multi pixel photon counter) の2種類の超小型の光センサについて基礎的な評価を実施した。その結果、マイクロPMTを用いた方が装置構成がやや複雑になるものの、微弱光検出感度が高いことが明らかとなった。選定したマイクロPMTに適合する流路を有するマイクロ流体デバイスを設計・試作し、マイクロPMTと組み合わせた上で、ATP(アデノシン3リン酸)の定量評価を実施した。その結果、これまでの大型PMTを用いた装置と比べてほぼ1桁の感度低下が見られたが、100 pMオーダーのATP定量が可能であることが判明した。また、天然海水を対象としたの分析データの取得にも成功した。光検出感度の向上を実現するため、3Dプリンタを用いた3次元的なマイクロ流路の設計・試作に着手した。送液系についても、従来装置より小型で低消費電力な送液ユニットを設計・導入した。また、ATP定量分析装置およびシンチレータ計測器の浅海熱水域での計測データを取得し、本研究で開発される超小型装置による計測結果と比較検討を実施するため、鹿児島湾内熱水系において現場計測試験を実施し、熱水系周辺におけるシンチレーション強度、ATP濃度の計測に成功した。漂流ブイの応用については、ブイ筐体へのセンサ取り付けなどについて、研究分担者らと内部構造等を詳細に確認し、水槽などを用いた評価試験を実施する方向で打ち合わせを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究初年度における重要な項目である超小型光センサの評価および選定を計画通り遂行することができた。また、選定した光センサを用いたプロトタイプ装置の構築も行い、基礎評価を実施することが可能な状況となっているなど、順調に推移している。超小型光センサの高圧環境下における試験については、準備を進めるまでに留まったが、すでに実施可能な状況となっており、次年度早々には耐圧性に関する試験結果および改良へと進めることが可能である。加えて鹿児島湾での評価試験を実施することで、次年度以降の装置評価の耐性を構築することができた。以上により、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はまず、超小型光センサ(マイクロPMT)の耐圧試験を早期に実施し、必要な耐圧性を付与するための改良を実施する。その上で、小型送液系を組み込んだ実証機を完成させ、実海域試験に向けた準備をすすめる。シンチレーション検出器についても、小型化を進めた実機の設計・基礎評価を進め、2ないし3月にATP定量分析装置と組み合わせた評価を実施することを予定している。漂流ブイなどの小型プラットフォームへのセンサ搭載について本格的に検討を開始し、まずは水槽実験を実施する方向で検討を進める。
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